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2024年 刑法 中央大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2024年 刑法 中央大学法科大学院【ロー入試参考答案】

7/21/2024

The Law School Times【ロー入試参考答案】

中央大学法科大学院2024年 刑法

1. 甲と乙は、A宅へ侵入するという住居侵入罪(130条前段)の共謀に基づき、A宅という「人の住居」に、管理権者Aの合理的意思に反して立ち入り「侵入」しているから、A宅へ立ち入った行為につき、甲と乙に住居侵入罪の共同正犯(130条前段、60条)が成立する。

2. 甲が乙と共に、A宅の書斎から現金を盗もうとした行為に窃盗未遂罪の共同正犯(243条、235条、60条)が成立しないか問題となるも、本件では、甲と乙は、二人とも書斎の場所がわからず、書斎のデスクの物色行為に及んでいないため、現金の占有侵害結果発生の現実的危険は生じていないから、窃盗罪の「実行」の「着手」(43条本文)は認められない。
 したがって、上記行為に窃盗未遂罪の共同正犯は成立しない。

3. 甲と乙は、Aの顔面を手拳で数回殴りつけて昏倒させ、Aの生理的機能を毀損させてその「身体を傷害し…た」ことに「よって」Aは脳出血が致命傷となって「死亡」したから、Aの顔面を手拳で殴りつけた行為に傷害致死罪の共同正犯(205条、60条)が成立する。

4. 乙が甲のナイフでAの腹部を何度も突き刺した行為につき、甲と乙に強盗傷人罪(240条前段)が成立しないか問題になるも、乙は既に死亡しており、乙が「人を負傷させた」とはいえず、同罪は成立しない。また、同行為に死体損壊罪(190条)が成立しないか問題となるも、乙には殺人罪の故意しかなく、抽象的事実の錯誤があり、死体損壊罪も成立しない。

5. 乙が書斎から現金500万円を持ち去った行為につき、甲と乙に窃盗罪の共同正犯(235条、60条)が成立しないか。

⑴ 一部実行全部責任の本質は、犯罪結果に対する心理的因果性であるから、①共謀②共謀に基づく実行行為③正犯性があれば、実行行為に及んでいない者にも共同正犯が成立する。

⑵ 甲乙間には、A宅の書斎から現金を盗むという窃盗罪の共謀があった(①充足)。
 死者の占有は原則認められないが、自ら被害者を殺害した者との関係では、殺害から財物奪取までの一連の行為を全体的に観察し、生前の占有を侵害するものと評価できる場合に、「窃取した」といえる。
 甲と乙は自らAを殺害したものであり、Aの殺害行為を利用して現金500万円を持ち去っているから、Aの生前の占有を侵害したといえ、Aという「他人の」所有する「財物」である現金500万円を「窃取した」として、共謀に基づく実行行為も認められる(②充足)。
 甲は乙に、犯行に使用する凶器である果物ナイフを貸与し、A宅の外で見張りをし、さらに犯行により得た500万円を乙と折半しているから、甲にも正犯性が認められる(③充足)。

⑶ したがって、上記行為につき、甲と乙に、窃盗罪の共同正犯が成立する。

6. よって、前記1・3・5の罪が成立し、これらは併合罪(45条前段)となる。  

以上


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