9/17/2024
第二東京弁護士会(二弁)が3月1日(金)に、77期司法修習予定者向けイベント「修習のギモンに元教官がお答えします!」を開催します。
二弁は例年、修習前の相談会をZoomで開催してきましたが、今年は対面で開催。司法研修所で教官を務めた経験がある弁護士2名と、76期修習生が登壇する講演会に加えて懇親会も設けます。
今回は、本イベントの企画者であり、二弁副会長を務める高山烈弁護士にインタビューを行いました。イベントの詳細や、二弁のカルチャー、若手弁護士が会務をこなすメリットなどを聞きます。
(ライター:晋川陸弥/The Law School Times編集長、写真:諸井)
――今回のイベントはどのようなイベントでしょうか?
今回は77期修習予定者に向けて、修習に関する疑問を解消できるようなイベントを開催します。イベントは二部制で、第一部では、司法研修所で教官を経験した弁護士と、76期の修習を終えて間もない新人弁護士が登壇し、修習前の疑問点を解消できるようなミニ講演会を行います。そして第二部では、登壇者・参加者同士が交流していただける懇親会を行います。
――懇親会はどのような意図で開催されるのですか?
ここ数年、二弁が開催してきたイベントはほとんどがZoomを使ったものでした。修習前イベントも数年前から開催してきましたが、今年は初の対面開催(Zoomも併用)となります。
ミニ講演もしっかり準備していますが、やはりそれだけでなく、先輩の経験を直接聞ける機会を設けたいということで懇親会を用意しました。Zoom開催の頃は講演の時間を1時間半設けていたのですが、今回は1時間に短縮しました。その分懇親会で聞きたいことをどんどん聞いて、たくさんの知恵や人脈を得ていただきたいです。
対面の方が質問もしやすいと思いますし、懇親会も設けますので、ぜひ先輩の弁護士に率直な質問をしていただきたいです。
過去の開催イベント。小中学生から司法試験受験生までに向けたキャリアイベント(上段)や、修習予定者向けのイベント(下段)はここ数年、Zoomのみの開催だった
――修習予定者はどのような疑問を抱えていると思われますか?
1番は「起案」だと思います。修習では司法試験の問題とは異なる実務的な起案を行うことになります。ロースクールや予備試験の科目にも実務科目はあるようですが、実務的な起案が中心となることに不安を覚える修習生は多いように感じます。
私の世代(筆者注:高山先生は56期)では1年半あった修習を今は1年でやるのですから、なおさら起案まみれの1年間を過ごすことになると思います。
この点について今回のイベントでは、実際に教官を経験した弁護士によるミニ講演を準備しています。「講演」といっても、堅苦しいものではなく、登壇者同士でお話しする形で進めていく予定です。その中で、評価される良い答案のポイントや、落とされない答案のコツなどをお話ししてもらおうと考えています。
また、実際の修習を振り返っての苦労や、実務修習地に向けた準備とその地で過ごした感想、さらに二回試験の対策なども気になるところだと思います。そこで、寮での過ごし方や勉強方法、修習中の失敗談などといった点はぜひ、76期の弁護士にお話しいただきたいですね。
――登壇していただく弁護士は、どのような方々なのでしょうか?
司法修習で民事弁護・刑事弁護を担当した弁護士2名と、昨年12月に修習を終えたばかりの76期弁護士4名ほどに登壇していただく予定です。
今回のイベントではそれぞれの登壇者に直接質問する機会があります。起案の準備方法、修習で苦労したこと、実務修習地での体験談、さらに就職活動やその後のキャリアなどについて、講演と懇親会を通して、ぜひ直接お話を聞いていただきたいです。
――高山先生が所属されている第二東京弁護士会の特徴について教えてください
若手が活躍できる点があると思います。
わかりやすい例で言えば、二弁の役員である会長・副会長の修習期が他の会に比べて若く、現在の副会長には62期の弁護士もいます。役員の期が若いことも含めて、二弁は自由闊達な雰囲気で、若い人にどんどん前に出てもらうカルチャーがあります。例えば、各委員会などで東京三弁護士会(東京都に所在する東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の総称)が集まる意見交換会があるのですが、そうした場に出席する二弁の弁護士もやはり比較的若い。さらに若手弁護士が自身で発案したイベントなどでも、発案者が主体的に開催まで行うことができる柔軟性のある組織であると思います。
他にも、子育て世代向けの支援、インハウスロイヤー(インハウス)の支援が整っていることも特徴です。
子育て世代向けの支援で言うと、出産・育児に伴う会費等免除制度・公益的活動義務の免除制度・継続研修履修の免除、さらに保育サービス費用補助制度などを用意しています。
また、二弁は歴史的にインハウスが多く、現在は会員の約1割がインハウスです。これは全国の弁護士会と比べてトップクラスの割合です。そして、JILA(日本組織内弁護士協会)との連携や、任期付き公務員への会費免除などといった各種制度を整えています。
――高山先生は副会長になるまで、どのような会務を担ってきたのですか。
私は「弁護士業務センター」という委員会で、業務改革と言われる分野を担当してきました。インハウスや任期付き公務員、中小企業支援やスタートアップ支援などです。
私はその中でも特に中小企業支援の部門で、信用金庫さんなどと連携してセミナーや勉強会を開催し、弁護士と中小企業経営者を繋げる活動をしてきました。
――会務をやることのメリットはどのようなものが挙げられますか?
弁護士の業務をしていると、どうしても自分が所属するコミュニティの中だけで人間関係が完結してしまいがちです。期が若いうちから会務として様々な活動をし、多くの人と出会うことは、将来のキャリアプランの幅を広げられるという点で、大きなメリットになると思っています。
また、法律事務所にいる限り「営業」をする、つまり自分で仕事をとってくることが必要になります。会務を通じて知り合った弁護士がいれば、お互いの専門分野について業務を紹介し合うことができる。これは弁護士にとってはもちろん、依頼者にとっても事件を適切に解決してもらう点では重要なことです。紹介する人とされる人も、そして依頼者も、皆がwin-winな関係性を作ることができるのは弁護士として大きな強みです。会務にはそうした現実的なメリットもあると思います。
そして、リフレッシュできます。日頃の弁護士業務とは違う人との繋がりや社会との繋がりが増えますし、会員同士がお互いに利害関係なく協働する点は部活やサークルに似た面もあり、楽しくできているのだと思います。
もちろん、会務をするにあたり自分の業務時間を割かなければいけない面はあるのですが、それを上回るメリットが必ずあると思いますね。
――最後に、本イベントに参加する修習予定者へのメッセージをお願いします
まずは、初の対面イベントということで、ぜひたくさんのお話を直接聞いていただき、知識や人間関係を広げる機会にしてほしいと思っています。
また、これから法曹になられる皆さんにはぜひ、法曹の多様性を感じてほしいです。弁護士になっても、さらにその先どのような弁護士になるかは悩み続けることだと思います。例えば、他の事務所に行く、他の企業や官公庁に行く、独立するなどの選択肢があります。そんな時に、本イベントで聞いた話がきっとその選択の幅を広げてくれます。
本イベントの懇親会には、登壇者に加え、今年度の二弁の会長や次年度の会長など名だたるメンバーが参加する予定です。ぜひ、多くのことを得る機会にしていただきたいです。
弁護士 高山烈(たかやま・あきら)
銀座中央総合法律事務所・パートナー
第二東京弁護士会・副会長
経歴
1998年3月 明治大学 法学部法律学科 卒業
2003年10月 弁護士登録(司法修習第56期 第二東京弁護士会)、竹田真一郎法律事務所入所
2008年11月 竹田・髙山法律事務所に改名。同事務所パートナー
2013年10月 オンサイト法律事務所開設・同事務所所長
2019年8月 銀座中央総合法律事務所・パートナー就任
2023年4月 第二東京弁護士会副会長就任
第77期司法修習予定者向け「修習のギモンに元教官がお答えします!」
(リンクをクリックすると、二弁のサイトに遷移します。)
【日時】
2024年3月1日(金)
●第1部● 講演会等 17:00~18:00
●第2部● 懇親会 18:00~19:00
【場所】
弁護士会館10階またはオンライン形式(Zoom)
(第1部はオンライン形式での参加が可能です。)
【参加方法】
下記URLから事前登録の上、参加してください。
https://forms.gle/DfNinmZ5WuQVUD6k6
【登壇者】
横田 高人弁護士:
当会会員。笹浪総合法律事務所パートナー。元民事弁護教官(第71期集合~第74期導入)。司法試験考査委員・司法試験予備試験考査委員(憲法)その他の要職を歴任。
高津 尚美弁護士:
当会会員。三吉橋法律事務所代表。元刑事弁護教官(第73期集合~第76期導入)。主に刑事弁護を取り扱う。
第76期の会員複数名参加
司会
青木 美佳弁護士:
当会会員。山崎・秋山・山下法律事務所所属。フリーアナウンサーとしても活動。現在、第二東京弁護士会広報担当。
【問合せ先】
第二東京弁護士会 企画課:03-3581-2869