登壇した弁護士は、どんなひと? 所属事務所と注力分野【スタダ大宴会・パネルディスカッションvol.1】
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登壇した弁護士は、どんなひと? 所属事務所と注力分野【スタダ大宴会・パネルディスカッションvol.1】

5/13/2024

The Law School Timesは、各ロースクールの合格者と在学生・修了生の交流イベント「スタートダッシュ座談会」(スタダ座談会)を主催しています。

2023年11月12日には、慶應・早稲田・中央ローの合格者向け合同イベント「スタートダッシュ大宴会」を開催しました。弁護士・現役ロースクール生によるパネルディスカッション、少人数のグループに分かれての座談会が行われ、合計40名超のロースクール合格者の方々にご参加いただきました!

弁護士4名によるパネルディスカッションの模様を、本記事から3記事にわたりお届けします。本記事は第1弾、【各弁護士と注力分野の紹介】です。


 登壇者

由井恒輝(ゆい・こうき)弁護士/法律事務所ZeLo・外国法共同事業


菅原稔(すがわら・みのる)弁護士/AZX Professionals Group マネージングパートナー COO

 

緑川大介(みどりかわ・だいすけ)弁護士/XP法律事務所


小味真人(こみ・まさと)弁護士/三浦法律事務所 パートナー



イベント当日の流れ

弁護士の皆さんからは、実務の最前線で活躍される先生方の注力分野、所属する事務所の特徴や魅力、仕事に対する姿勢、弁護士観などをお話しいただきました。続くロースクール在学生によるパネルディスカッションでは、ロースクールでの過ごし方、勉強法などをご紹介しました!
その後、グループに分かれて座談会を行いました。軽食を取りながら弁護士や現役ロースクール生と同じテーブルを囲み、合格者の方々からは絶え間なく質問が投げかけられていました。

以下では、弁護士4名によるパネルディスカッションの様子をお届けします。


スタートアップ、M&A、金融関連の法規制…、各弁護士の注力分野は?

晋川(LSTimes編集長) 自己紹介をお願いいたします。

菅原(AZX) AZX(エイジックス)総合法律事務所のマネージングパートナーを務めております、菅原と申します。AZX総合法律事務所は、ベンチャー・スタートアップ法務を専門に取り扱っている事務所です。2001年に創立し、これまでスタートアップを中心に6,000社以上をサポートしています40名以上の弁護士が在籍しており、その他にも税理士や社労士、弁理士、などグループ全体で140名程のプロフェッショナルファームです。

自身の注力分野は、ベンチャーファイナンスの分野です。例えば、ベンチャーが資金調達をする場面で仕事をしています。

小味(三浦) 三浦法律事務所の小味と申します。三浦法律事務所は、2019年の1月に約30名の弁護士によって設立された企業法務を中心に取り扱う事務所です。現在100名程度の弁護士が在籍し、5年で約3倍強の規模へと拡大しています。

私個人としては、金融規制、M&A、スタートアップ法務など幅広く企業法務案件をしつつ、離婚、相続、交通事故などいわゆる一般民事の案件も多く扱っています。事務所としても、全分野に対応することを目指しており、若手の弁護士も様々な分野を経験している事務所です。

緑川(XP) 弁護士法人XP法律事務所の副代表をしております、緑川と申します。私は修習の期でいうと72期です。シティユーワ法律事務所という事務所で約4年間執務した後、今年(2023年)の10月1日にXP法律事務所に参画いたしました。

注力分野としては、M&A等を中心とする企業法務、ファンド組成業務、労働訴訟などがあります。

私自身、XP法律事務所には半分独立というような形で入ったこともあり、皆さんには独立に関係した観点から少しでも有益なお話ができればと思っております。

由井(ZeLo) 法律事務所ZeLo(法律事務所ZeLo・外国法共同事業)の由井と申します。法律事務所ZeLoは2017年に設立され、ビジョンとして、「リーガルサービスを変革し、法の創造に寄与し、あらゆる経済活動の法務基盤となる」というものを掲げています。現在弁護士数としては40名弱、スタッフを含めると100名弱の規模感です。

私自身は弁護士として現在3年目で、次の1月には4年目を迎えます。菅原先生の前でいうのもあれなんですが、私もスタートアップ法務、特にスタートアップファイナンスをよく取り扱っています。ZeLoとしてもスタートアップ法務を多く取り扱っていますが、「あらゆる経済活動の法務基盤」となることをビジョンとして掲げていますので、企業法務全般、例えばM&Aや訴訟についても対応しています。

本日は先生方の中では私が一番下っ端なので(笑)、皆様には、若手の働き方というようなところについてもお話しできればなと思っております。

晋川 では早速、皆さんの注力分野について伺っていきたいと思います。この分野については誰にも負けない、という分野がありましたらお教えいただけますでしょうか。

菅原(AZX) なかなかハードルを上げられてしまいましたね(笑)。スタートアップに関しては基本的に一通りのことはできるかな、と考えています。

スタートアップは基本的に新しいことをやろうとしている会社なので、色んな法規制にぶち当たります。新しいことをする時にどういう法律が必要なのか、何か許認可を得る必要があるのか、これをやるとどういった罰則があるのか、などをチェックして、できるだけこれらに当たらないように、もしくは乗り越えて行きながら進めていくところがスタートアップ法務の醍醐味だと思います。そういった部分が得意分野です。

あとはやはりスタートアップでは、成長していくに当たり資金調達が必要になります。そういったファイナンスの部分に特に力を入れています。

昔は資金調達といえば1000万、2000万といった額でもかなり大きいものでしたけど、最近は金額の規模が本当に大きくなってきています。スタートアップとして小さい頃でも1億2億は当たり前で、5億10億というお金を調達してガンガン成長していくスタートアップも増えてきています。本日はスタートアップ、ベンチャー界隈の先生方が多くて、日々お仕事をご一緒することが多い先生方の前で言うのもあれなんですが(笑)、そのあたりが注力分野・得意分野だと思っています。

小味(三浦) 私自身は色んな分野を取り扱っていて、皆さんのようにスタートアップがっつり、というわけではありません。

ファイナンスにおける金融機関絡みの法規制や、PayPayに代表される最近の決済サービスに関する法規制、マネーロンダリング関連など、お金周りの法律問題を中心とした業務に携わっています。

また最近よくあるのは、個人間・企業間の紛争における利害調整について、訴訟前に解決する業務です。他にはM&Aも取り扱っています。

広く企業法務一般を取り扱っているので「これが注力分野だ」みたいなものが実はないかもしれないですね。

緑川(XP) 私の注力分野については、M&Aだったりとかファンド関連といった、一般的な回答になってしまいますね。

前の事務所でパートナーを見ていて、M&Aロイヤーとして売れる弁護士とは「リーガルアドバイスだけではなくマネジメントの分野について、ビジネスを知っている人間だからこそできるアドバイスを提供できる人間」と考えるようになりました。XPではその点を重視していきたいということで、私自身もそうですし、代表もビジネスをやっているところで差別化を図ることを目標としています。

実はXPでも最近スタートアップ法務を初めました。今日はスタートアップ法務についてもお話できればと思って来たんですが、蓋を開けてみれば大御所ばかりだったので、その点については今日はやめておきます(笑)。

晋川 由井先生のお話の前に、学生の皆さん、M&Aって分かりますか?会社法の中でも敬遠しがちな分野ですから、M&Aについて軽くご解説いただきがてら、由井先生お願いできますでしょうか。

由井(ZeLo) 私自身、現在はそれほどM&Aをやっているわけではないのですが、ただ弁護士になって1、2年目はM&Aの仕事も多く対応していました。皆さんもよく聞くと思いますが、タフで大変なお仕事の一つです(笑)

M&Aは、簡単に言うと会社が会社を買うというものですが、この際には当然契約が必要になります。その契約書を作成する際、その手前の段階で「対象の会社ってどういう会社なんだろう」というのを、資料を出してもらったりインタビューをしたりして調査するんです。これをデューデリジェンス(DD)といいます。そこで会社のリスク等を発見した上で、買主の会社に「こんなリスクがある」旨を伝え、買収するかどうかの判断材料にしてもらい、実際に買うとなっても、そのリスクを前提とした契約書を作成し、契約交渉のサポートをする~というのがざっくりしたイメージです。要するに、会社を買うときの調査(DD)をし、契約書を作る役割です。

DDが若手の皆さんが特に駆り出されるところで、案件によりますが、膨大な量の資料の山を漁っていって、例えば「これ、総会決議事項だけどやってないよね?」とか、「取締役会決議事項やってるのか?」などのリスクを探していきます。非常に大変な作業ですが、案件ごとに個性があってすごく面白い分野であり、極めていく人もいます。

次に僕の注力分野ですけど、他の先生方と同じような話になっちゃうので多くは語りませんが、スタートアップについてはよくやっています。

その中でも最近は環境分野に興味があり、力を入れています。ここ最近でいうと、カーボンクレジットや非化石証書に関する仕事をしています。

たとえば、非化石証書は、簡単にいうと、脱炭素で作られた電気について、これが「クリーンなエネルギーである」という環境的な価値を切り出して証明したものになります。つまり、送電線に流れる電気はどのように発電されているかによって区別されるわけではないので、非化石証書によって自分が使用している電気がクリーンなエネルギーであると証明することができるというイメージです。こういった非化石証書やカーボンクレジットに関連するサービスがしたいという再エネ関連の企業の支援をやっています。企業の社会的責任として、より環境的配慮が求められていくはずで、皆さんが事務所に入っていく頃にはこの市場も成熟しているんじゃないかな、と思って最近頑張っているところです。


【次回】事務所の情報と「なぜ今の事務所を選んだか」

パネネルディスカッション第2弾は【現在所属している事務所の情報(人数、業務分野、理念、雰囲気、10年後の目標など)】【なぜ今の事務所を選んだか】、第3弾は【弁護士に向いている人、各弁護士の注力分野に向いている人とは?】【学生の間にやっておくべきこと】を紹介予定です。お楽しみに!


The Law School Timesでは今後も、スタートダッシュ座談会をはじめ、ロースクール合格者、ロースクール生を対象としたイベントを開催していく予定です。ぜひ奮ってご参加ください!

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