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2022年 刑事訴訟法 慶應義塾大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2022年 刑事訴訟法 慶應義塾大学法科大学院【ロー入試参考答案】

11/20/2023

The Law School Times【ロー入試参考答案】

慶應義塾大学法科大学院2022年 刑事訴訟法

設問1

憲法35条2項 刑事訴訟法218条1項前段(以下刑事訴訟法法名略)

設問2

1. 乙方、丙方はそれぞれ被疑者以外の者の「住居その他の場所」であるから、「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り、捜索」ができる(222条1項、102条2項)。そのため、乙方、丙方に証拠物が存在する蓋然性を疎明しなければならない(規則156条3項)。

2. 本件では、差し押さえるべき物は「密売用覚せい剤や小分け道具、甲の使用する携帯電話等」である。たしかに、論理的にこれらの物は乙方と丙方の双方に分散して所在する可能性は存在する。そして、甲の居住実態から乙方か丙方のどちらかに証拠物を所持している蓋然性がうかがえる。しかし、疎明資料では乙方と丙方の双方に分散して証拠物が存在する蓋然性までは疎明できていない。そのため、Jは捜索先をどちらか1つにするよう求めたと考えられる。

設問3

1. 「捜索すべき場所」に、ポケットは含まれない。

2. 刑事訴訟法は、捜索の対象としての「場所」と「身体」を分けて規定している(219条1項、222条1項前段・102条1項)。「人の身体」には、「場所」に帰属する利益とは別個の保護すべき身体にまつわる人格的法益が帰属しているからである。そして、着衣部分も人格的利益の帰属という点で「身体」と同視しうる。よって、「捜索すべき場所」に含まれない。

設問4

1. ⑤の行為は、「必要な処分」(222条1項本文前段、111条1項)として適法とならないか。

2. 捜索差押えの実効性を確保するため必要であり、かつ社会通念上相当な妨害排除措置は、「必要な処分」として許容される。居住者の身体については、その場所内にあった物を隠匿したと疑うに足りる十分な状況がある場合には、合理的に見て必要かつ相当な範囲で、捜索の実効性確保のために「必要な処分」としてその者の身体を捜索することができると解するべきである。
 捜索開始から約5分後、室内の小物入れの上にあった封筒を手に取ると、素早くズボンの右ポケットに突っ込み、外に出ようとしている。そして、Mらは丙に声をかけ、封筒をポケットから出して渡すよう求めているものの、丙は頑なに応じていない。そのため、丙はこの封筒を警察に見られたくないという意思を有していると推認できる。これに加え、丙の落ち着かない様子を踏まえると、この封筒が証拠物であり、警察に見つからないようにポケットに隠匿した疑いがある。したがって、室内の小物入れ、つまり丙方に存在していた証拠物を隠匿したと疑うに足りる十分な状況がある。

3. したがって、⑤の行為は「必要な処分」に当たるため、適法である。

以上

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