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2025年 刑事訴訟法 大阪大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 刑事訴訟法 大阪大学法科大学院【ロー入試参考答案】

4/3/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

大阪大学法科大学院2025年 刑事訴訟法


第1問

1. 警察官Qが2024年1月15日午後4時ころに豊中警察署に到着したBに、「Aは取調べ中だから会えない。」と告げた行為

(1)まず、Aは、同日午後1時ころに警察官から任意出頭を求められ、同日午後2時ころ、豊中警察署に到着し、取調べを受けているところ、これは任意同行に当たり、刑事訴訟法(以下、法令名略)198条1項本文を根拠に行いうる。

(2)次に、Aは、同日午後6時30分に逮捕状の発付を得て逮捕されているところ(199条1項本文)、上記行為の時点で接見交通権(39条1項)及び接見指定(39条3項但書)に要求される「身体の拘束を受けている」(39条1項)とはいえない。そうであるとすれば、Aに対してはそもそも接見指定がなしえないのであるから、Aに対して「Aは取調べ中だから会えない。」と告げた行為は違法である。

(3)以上より、上記行為は違法である。

2. 警察官Qが、Bが同日午後7時に豊中警察署に電話したところ、「Aは先ほど逮捕状により逮捕した。接見希望があれば、逮捕状の諸手続きが終わった後に、30分だけ接見を認める。」と伝えた行為

(1)上記行為は、「司法警察職員」たるQが「公訴の提起前に」、「接見...に関し、その日時...を指定」するものであり、接見指定に当たる(39条3項本文)。では、かかる措置は適法か。

(2)ア 接見交通権は、憲法34条の弁護人依頼権に由来する重要な権利であるため、接見指定をなしうるのは例外的な場合である。
 したがって、「捜査のために必要があるとき」(39条3項本文)とは、申出に沿った接見を認めると捜査に顕著な支障が生じる場合に限られると解し、具体的には被疑者の身体を必要とする捜査をしているないし、することが間近に予定されている場合が、これに該当することとする。

イ 本問では、Aは現に取調べをしているため、申出に沿った接見を認めると捜査に顕著な支障が生じるといえる。よって、「捜査のために必要があるとき」といえ、接見指定をなし得る。

(3)ア もっとも、本件はAが2024 年 1 月 15 日午後 1 時ころに警察官から任意出頭を求められた段階から同日午後7時にBが豊中警察署に電話した段階まで、一度も弁護士との接見をしていない。そのため、いわゆる初回接見に当たる。そうすると、上記措置は、「防御の準備をする権利を不当に制限」(同項但書)するものとして違法とならないか。

イ 初回接見は、憲法34条の保障の出発点をなすもので、特に重要である。
 したがって、初回の接見については、その接見指定にあたり、弁護人となろうとするものと協議をして、即時又は近接した時点での接見を認めても、接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生ずるのを避けることが可能かどうかを検討し、これが可能な時は、特段の事情がない限り、即時又は近接した時点での接見をみとめるようにすべきであり、そのような措置が取られていない場合は、「防御の準備をする権利を不当に制限」するものとして違法になると解する。

ウ Bが同日午後 7 時に豊中警察署に電話したところ、応対した警察官Qは、「Aは先ほど逮捕状により逮捕した。接見希望があれば、逮捕後の諸手続が終わった後に、30分だけ接見を認める。」と告げたのみであった。そうであるとすれば、警察官Qは弁護人となろうとする者たるBと協議を一切行っていない。そのため、上記措置は「防御の準備をする権利を不当に制限」するものといえ、違法である。

(4)以上より、上記行為は違法である。

第2問

1. ① 取調べ受忍義務
 取調べ受忍義務とは、出頭後に自由に退去できず、結果として生じる取調べを受け続けなければならない義務をいう。そして、同義務は、198条1項但書の反対解釈より、「逮捕又は勾留されている」場合には、認められると解する。
 同義務を認めると、黙秘権の侵害につながるとして、逮捕・勾留されている被疑者も出頭後に自由に退去できるとする見解もあるが、同義務を認めることが直ちに黙秘権の侵害につながることにはならないと反論できる。

2. ② 訴因の特定
 訴因の特定は、256条3項を根拠とするものであり、公訴事実において、被告人の行為が特定の犯罪構成要件に該当するかどうかを判定することができ、他の犯罪事実と区別できる程度の事実が記載されることが要請される制度である。
 そして、その特定の趣旨は、裁判所に対して審判対象を明確にするとともに、被告人に防御の範囲を示すことにあり、第一次的な趣旨は前者にある。

3. ③ 非伝聞証拠
 非伝聞証拠とは、一見伝聞法則(320条以下)の適用を受けるような証拠であるが、要証事実との関係で供述内容の真実性が問題にならず、供述の存在そのものが問題になるに過ぎないため、供述内容の正確性を供述者に直接確認することが不要と考えられるとして、伝聞証拠に該当しないと判断されるものをいう。

 

以上

 

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