5/27/2025
みなさん、就活は順調ですか?
「司法試験に合格してからすればいいんじゃないの?」「司法試験勉強に手一杯で、就活する余裕がない…」と、就活を後回しにしていませんか?
就活を始めるのは早ければ早いほどいいです!特にいわゆる「企業法務系事務所」への就活においては、初動の遅れは致命的です。例えば「四大事務所」へ入所するためにはサマークラーク(以下「サマクラ」)への参加がほぼ必須と言われています。そしてサマクラに参加するには司法試験を受験する前年の4月初旬にエントリーシート(以下「ES」)を提出することが望ましいため、春先から動き出す必要があります。
そう言われると、不安になってきますよね。でも、大丈夫です。まだ間に合います。本記事では、忙しい令和8年司法試験受験生(80期司法修習予定者)に代わって「企業法務系事務所に入所するためには、いつ、何をすればいいのか」をまとめました!
近年特に就活が早期化していますが、本記事およびカレンダーは司法試験前内定、司法試験直後内定、合格発表後内定の3パターン全てを踏まえて作成しています。
これだけ見れば、他の就活生に遅れをとることはありません。
(ライター:棚橋/The Law School Timesディレクター、編集:晋川陸弥/The Law School Times編集長)
本記事はnote記事の再編集したものです。元の記事はこちら
note記事:【79期向け・就活カレンダーあり】企業法務系就活、徹底攻略ガイド
○ 2025年4月
■ ロー入学
■ 四大等の企業法務系事務所のサマクラ募集開始。ES提出
○ 5月〜6月
■ その他の事務所もサマクラ募集開始。ES提出
■ サマクラ選考面接
■ 中間試験
○ 7月
■ サマクラ選考面接
■ 予備試験
■ 期末試験
○ 8月〜10月
■ 夏休み
■ サマクラ実施
■ 予備試験論文
○ 11月〜1月
■ サマクラで会った弁護士と食事会など
○ 2026年1月
■ 期末試験
■ 予備口述試験
■ ウィンタークラーク(以下「ウィンター」)募集開始。ES提出
○ 2月〜3月
■ 予備試験最終合格発表
■ ウィンター実施
■ 大阪四大や、準大手と言われる100名規模の事務所、30名規模の中規模事務所が内定を出し始める
○ 7月
■ 司法試験受験
■ 四大等の企業法務系事務所が本採用選考(個別訪問)募集開始
■ ES提出
○ 8月
■ 本採用選考(個別訪問)実施
■ 内定
○ 11月
■ 司法試験合格発表
■ その他企業法務系事務所の本採用選考(個別訪問)募集開始・実施
■ 内定
○ 2027年4月
■ 修習開始
○ 2028年4月
■ 法律事務所での勤務開始
まずは就活のスケジュールを示したカレンダーをご覧ください。この図を見れば、企業法務系事務所への就活の大まかなイメージを掴んでいただけるはずです。
就活のスケジュール(The Law School Timesが作成)
次にそれぞれの内容を、2025年4月のロースクール入学から2028年4月に法律事務所で働き始めるまでの時系列を追って細かく見ていきます!
● エントリーする
多くの企業法務系事務所では、いきなりESを提出することはできません。まずは名前などの基本情報をホームページに登録する必要があります。そしてエントリーをすることで初めて、ESに書くべき質問事項を知ることができます。エントリーにはすぐに取り掛かれるので、早めに済ませてしまいましょう。
● ESを書く
これが就職活動に向けての準備のメイン部分と言っても過言ではありません。ESを書くには時間がかかるので(筆者は1カ月ほどかかりました)、まだ書いていない方は今すぐに取り組みましょう。
なお、サマクラへの参加を考えていない方も、この時期にESを作成しておくと良いと思います。本選考は、司法試験終了後すぐに開始されるため、試験後に書き始めると遅れを取ります。一方、司法試験受験前は勉強で忙しいはずです。じっくりとESを推敲できる期間は貴重なので、この時期にしっかりと時間をとりましょう。早めに作成しておくと、改良の時間を多く取れるメリットもあります。
● ESを提出
サマクラのES提出締切は7月あたりに設定されていることが多く、期限に余裕があるようにも思いますが、そうではありません。筆者の周りで、提出締切直前にESを提出して、選考に通過した人は一人もいませんでした。優秀な人は早めにESを提出しているだけという可能性は否定できませんが、5月頃にはサマクラ選考通過者が現れ始めるので、その分だけ参加可能枠が減っているのは間違いないでしょう。
目安としては、ESは遅くともエントリー開始から1カ月、できれば1週間経つまでに提出するべきでしょう。
個人的には、例えば100%の出来のESをエントリー1カ月後に提出するより、60%の出来のESをエントリー開始から1週間後に提出した方がいいと考えています。筆者も就活を終えてみて、ESを遅れて提出するデメリットはそれほど大きいと感じています。可能ならば、エントリー開始日に提出するのがベストです。
● 証明写真を撮る
面接選考のない事務所では、志望者の外見の印象を判断する唯一の資料であり、重要です。何度も使い回せますので、費用はかかりますが写真館で撮影することをお勧めします。
● 成績証明書(大学学部等)を取り寄せる
エントリー時点もしくはES提出時点で、成績証明書(PDFやJPG、PNGファイル)の提出を求められることがほとんどです。
現在の住まいが大学から離れている方は、大学からの郵送にかかる日数を考慮して、早めに成績証明書を取り寄せておきましょう。
● それぞれの事務所の特徴について調べてESを改良
ESは、その事務所特有の情報を盛り込んだ方が高評価を得られます。志望度の高い事務所に対しては、事務所研究をしてESをカスタマイズしましょう。また、そもそも事務所によって質問事項が違うことも多いです。こちらの記事に事務所研究について詳しく書かれていますので、参考にしてみてください!
● 日程調整
サマークラークの選考を通過すると、日程調整のメールが来ます。他の事務所の日程とバッティングしないように気をつけましょう。
ここで「複数の事務所からサマクラのお誘いが来たけど、いくつ参加するか」悩む人がいます。結論は「人による」ですが、個人的には3つか4つがちょうどいいと思います。サマクラの期間は3日〜1週間であることが多く、5つ以上参加するとかなり忙しくなります。とはいえサマクラに行ってみて初めて気づくこともあるので、体力があれば全部行くのは有意義だと思います。筆者の友人では「報酬も出るし、被らない限りは全部行く!」という人が多かったです。
● 証明写真や成績証明書は使い回す
大体はPDFファイルで提出するので、使い回すことが可能です。「3カ月前までの写真」など期限が付されていることも多いので、募集要項を確認してください。
採用されるまでに、面接が必要となる事務所もあります。面接ではESの内容を深掘りする形で質問がされることが多いです。その他にも、時事問題についての意見を問われることもあります。また、面接の終わりには逆質問の時間が設けられていることが多いので、質問を用意しておきましょう。
面接内容は一般企業の就活面接と基本的に共通するので、一般企業向けの面接対策サイトや本を一読しておくと良いでしょう。
サマクラはロースクールの夏休みに合わせて開催されることが多いです。
サマクラでの振る舞い方などについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
note記事 サマクラ・ウィンター攻略法〜学歴・GPAがないロー生の唯一の生存戦略〜
「ケア飯」と呼ばれているものです。サマクラで優秀と認められた人にお誘いがあると言われています。ただ「ケア飯」に参加しなくとも内定を勝ち取っている人もいるので、気にしすぎなくてよいです。
スプリングは予備試験合格者のみを対象としてされるものも多いですが、予備試験合格者以外が参加できるものもあります。志望する事務所の募集要項をよく確認してみてください。
なお、この時期のクラークの名称は事務所によってウィンタークラークと呼ぶかスプリングクラークと呼ぶか、若干異なります。「ウィンター」と言われるは、令和4年までは11月に予備試験の最終合格発表があり、12月ごろの冬休みの期間に行われるクラークだったことに由来します。現在は、主に2月から3月、遅いところは4月にかけて行われるのでスプリングと言われることが多くなりました。もっとも、内容や時期は基本的にはどの事務所も同じです。
建前としては司法試験終了後の8月から順次採用が行われることになっていますが、一部では司法試験受験前の2〜3月に採用の打診が行われることもあります。
内定受諾の条件として、「他の就活をしないこと」などの条件が盛り込まれることもあるため、よく確認の上、しっかりと担当者とコミュニケーションをとりましょう。このフェーズならば焦って受諾するよりも、正直に話した上で色々見てから司法試験後に改めて受諾する、というのも手です。
● サマクラのESを改良して提出
● ロースクールの成績証明書を取り寄せる
● 予備試験の成績表を送る
司法試験後の8月1日から開始する事務所が多いです。面接内容はサマクラ選考面接と同様です。サマクラに参加した事務所では、実質的にサマクラで内定が決定しており面接は形式だけ、ということもあります。
四大等以外では、11月から選考を始める事務所もあります。7月に選考を始めた大手事務所でも、合格発表後に不合格者分の採用枠が空いたために追加募集をすることもあるので、チェックしておきましょう。
以上です!忙しい中で大変だとは思いますが、企業法務系事務所への入所を志望する方は、これらのスケジュールに沿って、計画的に就活を頑張りましょう!
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