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2024年 憲法 明治大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2024年 憲法 明治大学法科大学院【ロー入試参考答案】

4/1/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

明治大学法科大学院2024年 憲法

1. 設問前段

⑴A税理士会の特別会費5000円の徴収決議(以下、「本件決議」という。)は、「目的の範囲」(民法34条)外であるとして無効とならないか。

⑵税理士会における「目的の範囲」内か否かは、①当該法人の目的・性格、②強制加入性の有無、③問題となる人権の性質等を総合的に考慮して判断する。
 まず、①につき、税理士会は、設立が義務付けられている(税理士法49条1項)。A税理士会は、税理士・・の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため、・・会員に対する指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的としている(同条6項)。また、税理士会は公益法人である。このような税理士会の性格に鑑みれば、税理士会は会社とは異なり、「目的の範囲」について広く解すると、公的な目的の達成を阻害することになるから、「目的の範囲」は厳格に考えるべきである。
 また、②につき、税理士会は強制加入団体であって、実質的には会員の脱退の自由が保障されていない。強制加入団体は、会員には様々な思想・信条の者がいることが当然に予定されており、会員に要請される協力義務にも自ずから限界がある。
 さらに、③につき、本件で問題となっている政治資金を寄付するか否かは、選挙における投票の自由と表裏をなすものであり、会員各自が市民としての個人的な思想・信条に基づいて自主的に決定すべきことである。また、XはA税理士会が寄付しようとしている政党には反対の政治的信念を持っており、特別会費納入を拒否したら役員の選挙権を停止することになり、選挙権を行使することができなくなっている。Xが選挙権を行使したいと思う場合、自己の信条とは反する行動を強制されることになるから、その意味でXの思想・良心の自由(憲法19条)という重要な権利が制約される。

⑶以上より、税理士会に有利な方向で改正がなされるためのものであっても、多数決原理によって団体の意思として決定し、構成員にその協力を義務付けることはできないというべきであるから「目的の範囲」内とはいえない。

⑷したがって、本件決議は「目的の範囲」外であるから、無効であり、Xは本件特別会費の納入義務を負わない。


2. 設問後段

⑴B税理士会の復興支援拠出金として、本件決議をしたことは「目的の範囲」外として無効か。上記①②➂の観点等から、判断する。

⑵①について、上記の通り、「目的の範囲」は厳格に解すべきであり、②について、会員に要請される協力義務にも自ずから限界がある。
 しかし、➂について政党に対する寄付と違って、B税理士会への寄付は、思想良心の自由などの会員の重要な権利を害するものではない。また、金額も5000円であるから社会通念上大きな負担とはいえない。さらに、他の税理士会が復興できるように支援することで、被災した税理士会は復旧が早くなり、助け合うことが業務をより改善進歩することもある。
 よって、「目的の範囲」といえる。

⑶以上より、本件決議は有効であり、Xは本件特別会費の納入義務を負う。

以上


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