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2024年 商法 慶應義塾大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2024年 商法 慶應義塾大学法科大学院【ロー入試参考答案】

12/13/2023

The Law School Times【ロー入試参考答案】

慶應義塾大学法科大学院2024年 商法

第1 設問1

1 甲社の株式は、定款に株式の譲渡に際し取締役会の承認が必要である旨の定めのある譲渡制限株式である(会社法(以下略)2条17号・107条1項1号・2項1号)。そのため、原則として甲社の株主であるEは名義書換請求が許されず(134条本文、133条1項)、甲社に請求に応じる義務はない。
 もっとも、Eは、書面にて、甲社に対してFによる本件株式の取得を承認するか否かの決定をすることを請求し(136条・138条1号イロ)、加えて譲渡不承認の場合の甲社又は指定買取人の買取請求(138条1号ハ)をしている。かかる請求に対し、甲社取締役会は、何ら決定をせず、1ヶ月が経過しており、「譲渡請求の日から二週間・・・以内に譲渡承認をするか否かの通知をしなかった場合」(145条1号)にあたるから、Eの譲渡請求は承認決定がされたとみなされる(145条)。
 したがって、Eは適法に名義書換請求ができ(134条1号・133条1項)、Fと共同でなされた本件株式の譲渡にかかる名義書換請求は適法である(133条1項・2項)。

2 以上より、甲社は、本件名義書換請求に応じなければならない。

第2 設問2

1 会社は原則として、株式名簿に記載された者を株主として扱い、通知を発すれば足りる(126条1項参照)。もっとも、会社が不当に名義書換請求に応じていない場合には、会社は名義書換のないことを理由に譲渡を否認することができず、譲受人を株主として扱うことを要すると解される。
 本件では、第1の通り、甲社は不当に本件名義書換請求に応じていない。そのため、甲社は、譲受人Fを株主として扱うことを要し、本件株主総会の招集通知は、Fになされなければならない(299条1項)。それにもかかわらず、甲社はEに対して招集通知を発している。よって、本件株主総会決議は、「招集の手続……が法令……に違反」(831条1項1号)するといえる。
 そこで、株主Fは、本件株主総会から3月以内に、甲社を被告とし、総会決議取消訴訟(831条1項1号)を提起し、決議を取り消すことができる。
 なお、発行済株式100株のうちの20%である20株もの株式を有するFに対して招集通知を発しない違法は重大であるから「違反する事実が重大でない」とはいえない。したがって、裁量棄却(831条2項)はされない。
 そして、判決をもって決議が取り消された場合には、遡及的に決議の効力が無効となる(839条・834条17号参照)。

2 以上より、本件選任決議及び本件剰余金配当は無効である。

以上

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