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2025年 行政法 九州大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 行政法 九州大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/25/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

九州大学法科大学院2025年 行政法

1. 1番について

⑴委任命令の限界をめぐる法律側の問題としては、委任の内容が個別具体的で明確でなければならなず、いわゆる白紙委任は許されないということが挙げられる。いかなる趣旨に基づく委任であるかが明瞭であるように、具体的かつ明確な委任が求められる。

⑵一方で、命令側の問題としては、法律による委任の範囲を逸脱する委任命令は無効であると解されるということが挙げられる。これは、法律による行政の原理からすれば、本来的には法律により規定するのが原則であり、法令の委任を受けて制定される下位法令である命令は、法律による委任の範囲を逸脱することは許されないためである。そこで、委任した法律の趣旨・目的や対象となる私人の権利義務の性質等を勘案した上で、委任の範囲内であるかが判断されることとなる。

2. 2番について

⑴まず、判例上、行政行為が無効であるというためには、少なくとも、①瑕疵が重大であること、すなわち、処分の根幹についての加護があることが要求される。公定力・不可争力の趣旨は、行政目的の早期実現、行政関係の安定、円滑な行政運営の確保にあるところ、行政行為の無効が認められるのは、そのような趣旨を犠牲にしてもなお、国民の権利を救済すべきときに限られるからである。

⑵加えて、②瑕疵が明白であること、すなわち処分の外形上客観的に何人でも誤認を認識できることも要件となるのが原則であると考える。もっとも、これは、第三者保護の観点から要求されるよう権威すぎないから、第三者の信頼保護にさしたる影響がないのであれば、②明白性は不要である。これに対して、瑕疵が重大であることをもって行政行為は無効であると解されるのであり判例においても、明白性を要件とするものが多い一方、第三者の信頼保護が不要であると考えられる事案類型においては、明白性要件を不要とし、重大性要件のみをもって、行政行為の無効性を判断している。

3. 4番について

⑴規制行政分野で行政契約が用いられる実例として、公害防止協定が挙げられる。これは、事業者と行政主体との間で、関係法令において排出等が規制されている有害物質等についての取扱いを任意に取り決めるものである。

⑵行政側としては、任意による契約であるため事業者による取り決めの遵守が期待できること、法令による規制に比べて、事業者ごとに契約内容を変えたり、場合によっては一定の条件を付したりするなど、より柔軟な契約内容の決定ができることなどがメリットとして挙げられる。規制行政では実現できない合意を目指すことが出来る点に行政契約の意義が認められる。

4. 6番について

⑴「法律上の利益を有する者」とは、当該処分によって自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。そして、当該処分を定めた根拠法令が、不特定多数の具体的利益を専ら一般公益に吸収・解消させるに留まらず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきとする趣旨を含む場合、かかる利益についても法律上保護された利益にあたると解する。

⑵そして、処分の相手方以外の者について「法律上の利益を有する者」に該当するかを判断するにあたっては、行政事件訴訟法9条2項の要素を勘案して判断されることとなる。

⑶判例上、生命・身体の安全に関する利益については、一般公益に吸収・解消される性質ではなく、明文の規定がなくても個別的利益として保護されると解する傾向にある一方、景観利益や良好な環境を享受する利益については、第一次的には不特定多数の利益を保護する趣旨であるとして、明文の規定がない場合には個別的利益として保護する趣旨までは認められない、と判断する傾向がみられる。

以上

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