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2024年 憲法 北海道大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2024年 憲法 北海道大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/26/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

北海道大学法科大学院2024年 憲法

第1問

1. XのYに対するプライバシー権に基づく本件検索結果の削除を求める仮処分命令の申立ては認められるか。

⑴そもそも、プライバシー権とは私生活をみだりに公開されない権利であるところ、Xが児童売春をしたという前科は、みだりに公開されたくない私生活についての事項であるためプライバシー権により保障される。
 そして、憲法13条後段は、14条以下の人権の規定に列挙されていない個人の人格的生存に不可欠な人権を保障するものであるところ、自己の私生活が公開されないことは個人の人格的生存に不可欠であるため、プライバシー権は13条後段により保障される。
 よって、Xが児童売春したという前科を公開されない自由(以下「本件自由」)は同条後段により保障される。
 そして、本件検索結果が出てくることで、本件自由は侵害されている。

⑵では、裁判所は本件検索結果の削除を求める仮処分命令を出すべきか。
 検索結果の提供は、検索事業者の方針に沿った検索結果が出てくるようにプログラムされたものであるから、検索事業者自身の表現行為である。また、検索事業者による検索結果の提供はインターネットによる情報社会において国民が膨大な量の情報から必要な情報を入手するという情報流通の基盤として知る権利に対し大きな役割を果たしている。よって、検索事業者による検索結果の提供は21条1項により保障される重要なものである。
 そこで、検索結果の提供が違法となるかは、当該事実を公表されない法的利益と当該検索結果を提供する理由を比較衡量して判断すべきで、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合は、検索事業者に対し、当該検索結果を削除することを求める仮処分命令を出すべきである。

⑶本件で、児童売春をしたことで罰金刑に処された事実は他人にみだりに知られたくないXのプライバシーに属する事実ではあるものの、児童売春が社会的に守るべき存在である児童に対する性的搾取及び児童虐待と位置付けられており社会的に強い非難の対象とされていることから、本件事実から5年経っていたとしても今なお公共の利害に関する事項と言える。また、本件検索結果はXの居住する県の名称及びXの氏名を条件とした場合に出てくるのであり、本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものである。
 よって、本件事実が公表されない法的利益が本件検索結果を提供する理由を優越することが明らかである場合とは言えない。

2. 以上より、XのYに対するプライバシー権に基づく本件検索結果の削除を求める仮処分命令の申立ては認められない。

設問2

1. 裁判所は、A党によるXの除名は無効であるから、Gの当選は無効であると判断するべきか。

⑴政党は憲法上に規定されていないが、議会制民主主義を支える上で極めて重要な存在である。そこで、政党には高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営できる自由を保障する必要がある。このような政党の性質を鑑みると、政党からの除名処分について、それが一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、その当否は、法律や当該政党の規則に従い、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、裁判所の審理もその点に限られると考える。なお、名簿登載者について政党のする除名は、公的ないしは国家的性質を有し、単に政党の内部事項にとどまるとはいえないとして、手続のみならず実質的な審理をすべきという反論や、政党が投票後に名簿登載者を除名することは直接選挙の原則に反するという反論もあるが、上述の政党の性質による高度の自律性に鑑みると妥当でない。

⑵本件では、公職選挙法に従った手続きがなされている。

⑶よって、A党によるXの除名は無効ではない。

2. 以上より、裁判所は、A党によるXの除名は無効ではないのだから、Gの当選は無効と判断すべきではない。

以上

 

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