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2023年 民法 東北大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2023年 民法 東北大学法科大学院【ロー入試参考答案】

2/29/2024

The Law School Times【ロー入試参考答案】

東北大学法科大学院2023年 民法

問1(12行)

1. CはAに対し、甲について所有権に基づく所有権移転登記抹消登記請求を行う。

2. 上記請求の要件は①C所有、②A名義の所有権登記の存在であるところ、Bによる他人物売買(民法(以下略)561条)ではCの所有権は移転せず、Bが移転義務を負うだけであるため、ABによる甲の売買契約は、無権代理(113条1項)に留まり甲の所有権はなおCにあるように思える。そしてA名義登記の存在も明らかである。

3. しかし、本件ではCがBを相続しており一切の権利義務を承継(896条本文)した以上、相続により本人と無権代理人の地位が融合し、当然に無権代理の追認が生じないか。

4.  この点、相続という偶然の事情により、無権代理行為を潔しとしない相手方の取消権行使(115条本文)や本人の追認拒絶権を否定すべき理由はない。そのため、両者の地位は併存し、本人はその地位に基づいて無権代理行為を追認拒絶することができる。

5. よって本件でも、無権代理人Bを承継した本人Cは追認拒絶でき、所有権はCに残る結果、要件を満たし請求は認められる。

問2(8行)

1. 弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない(484条1項)。

2. 本件では、Aは甲絵画をBに売却する旨の売買契約をしている。甲絵画という特定物の引渡しである以上、甲絵画の引渡しは債権発生時に甲が存在したAの自宅で行われる。また、AB間で「別段の意思表示」はないため、売買の目的物の引渡しと代金の支払いは同時に行われることが予定されており、574条の適用を受け、Bの弁済も上記同様に引渡し場所であるAの自宅にて行われる。

問3(12行)

1. AはBに対し、土地工作物責任に基づく損害賠償請求(717条1項)を行う。

2. 「土地の工作物」とは、土地に接着して人工的に作出した物及びそれと一体となって機能しているものを含むところ、本件石垣は甲と乙の土地の境界線上という土地の上に接着し、人の手により作成されたものであるため、これに該当する。
 そして、石垣は50年も前に築造されており、高さも7mと人の3倍以上の高さがある。その石垣に走る複数の亀裂は、石垣の上端から下端まで広がっており、梅雨の雨により崩壊することは容易に想定でき、その崩壊によって人に怪我を生じさせる恐れがある。そのため、通常石垣に対して要求される安全性の程度を欠いているといえ、これは「保存」の瑕疵といえる。
 また、工作物責任では、占有者に免責事由が無いことを要するが、本件でBは工作物たる石垣の占有者でありながら、石垣の所有者でもある。そのため、過失の有無に関わりなくBは無過失責任を負う。

3. よって、占有者Bに対する請求が可能である。

以上

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