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2025年 民事訴訟法 同志社大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 民事訴訟法 同志社大学法科大学院【ロー入試参考答案】

5/10/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

同志社大学法科大学院2025年 民事訴訟法

問⑴

1. Aが原告となって本件訴訟を提起することができるか。

2. AはB会社を代表する民法上の組合であるから、原則として当事者能力が認められない。
 そこで、「社団」(29条)に含まれるかが問題となる。
 確かに、組合は法形式上は合同行為である。しかし、組合財産は個人財産から独立して管理され(民法676条1項)、社会生活上一個の団体としてその名で活動することもあり、現実には社団と組合との区別は困難である。そこで、組合についても団体としての実体がある限り、「社団」にあたると解する。
 そして、団体としての実体があるかは、①団体としての組織を備えているか、②多数決の原則が行われているか、③構成員の変動が団体の存続に与える影響、④団体として主要な点が確定しているか等の諸要素を総合的に考慮して判断する。
 AはB会社のほか4社を構成員として組織され、構成員の変動が団体の存続に与える影響は軽微である。また、Aの規約によると、代表者は、構成員の互選によって選任され、建設工事の施工に関して企業体を代表して発注者及び監督官庁と折衝する権限のほか、自己名義で請負代金を請求し受領する権限と、構成員から拠出された企業体に属する財産を管理する権限が与えられており、団体としての主要な点が確定しているといえる。
 よって、Aに当事者能力が認められる。

3. もっとも、当事者能力が認められても、実体法上の権利能力まで取得するものではない。そのため、当該社団は、固有の資格に基づいて当事者となることはできない。
 では、訴訟担当として、当事者適格を認めることはできないか。
 当事者適格は、特定の訴訟物について当事者として訴訟を追行すべき者で、その者に対し本案判決をするのが紛争の解決のために必要で有意義といえる者に認められると解する。
 そうすると、Aが当事者として訴訟を追行し、本案判決を受けることを認めるのが、紛争を複雑化、長期化させることなく解決するために適切である。
 したがって、Aに当事者適格が認められる。

4. 以上より、Aが原告となって本件訴訟を提起することができる。

問⑵

1. Bが原告となって本件訴訟を提起することができるか。

2. 明文規定はないから、団体の代表者が法定訴訟担当の地位につくこと破壊することはできない。そこで、任意訴訟担当の地位につくと解する。では、訴訟担当とする授権はどのような場合に認められるか。
 団体は構成員全員の訴訟担当者たる地位にあるから、確定判決の効力は構成員全員に対して及ぶ(115条1項2号)。また、団体が敗訴した場合には構成員全員の総有権を失わせる処分をしたのと事実上同じ結果をもたらす。もっとも、内部規則が定められ、それに従って訴訟追行権の存否が決せられる限り、構成員はあらかじめ承認しているといえる。また、会社のように代表権の範囲が法定されておらず、定型性がないから、訴訟追行権の授与についても、団体ごとに個別具体的に考える他ない。よって、団体が原告となる場合、その代表者が訴訟追行するには、当該団体の規約の定めに従い、処分権が授権されている必要があると解する。
 AはBを代表とする組合であって、代自己名義で請負代金を請求し受領する権限と、企業体に属する財産を管理する権限が与えられている。そうすると、請負契約に関してAが有するに至った請求権を訴訟上で行使する権限は、代表者であるBに受験されていたと考えるべきである。

3. 以上よりBが原告となって本件訴訟を提起することができる。

問⑶

1. 問⑴の場合には、当事者はAであってBがAの代表を辞任しているので「代理権の消滅」(124条1項3号)にあたる。

2. また、問⑵の場合には、当事者はBで、Bが代表を辞任しているから、「一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるもの」が「その他の事由による資格の喪失」(同条1項5号)に該当する。

3. そのため、いずれの場合も、訴訟が中断するのが原則である。もっとも、本件では弁護士Lを訴訟代理人に選任しているから、「訴訟代理人がある」として、どちらの場合にも訴訟は中断されない(同条2項)。


以上


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