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2025年 民事訴訟法 神戸大学大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 民事訴訟法 神戸大学大学法科大学院【ロー入試参考答案】

4/6/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

神戸大学大学法科大学院2025年 民事訴訟法

第2問[設問](1)について

1. 訴訟物とは、原告の主張する権利・法律関係のことをいう。

2. 本件訴訟の訴訟物は、甲土地の所有権である。

第2問[設問](2)について

1. そもそも、本件訴訟は甲土地の所有権を有することの確認の訴えであるところ、原告Xは請求原因事実として、甲土地所有権の取得原因事実を主張立証すれば良い。①、②の事実がこれに当たるため、請求原因事実としては、③の事実は不要である。

2. もっとも、確認の訴えにおいては、訴訟要件として、確認の利益が必要とされる。なぜなら、確認の訴えの場合、確認対象が無限定になるおそれがあり、また確定判決は執行力を有しないため、真に紛争解決の必要性・実効性が認められる場合に限定する必要があるからである。そして、かかる場合に当たるかは、対象選択の適否、即時確定の利益、方法選択の適否という要素から判断される。
 本件訴訟において、原告Xの甲土地所有権と相容れない主張を内容とする③の事実を主張すれば、原告Xの甲土地所有権につき危険が現存し、その除去のために確定判決によって即時にかかる権利を確定する必要があること(即時確定の利益)が推認される。
 したがって、Xが③の事実を主張しているのは、確認の利益が存在することを証明するためである。

第2問[設問](3)について

 149条1項

第2問[設問](4)について

1. 裁判上の自白の要件は、①口頭弁論または弁論準備手続の期日における弁論としての陳述であること、②陳述が相手方の主張と一致すること、③陳述の内容が自己に不利益であること、④陳述の内容が事実を内容とすること、である。

2. ①について、当事者尋問での陳述は、弁論ではないから裁判上の自白とはならない。

3. ②について、相手方の主張と一致している限り、当事者のどちらが先に陳述したのかを問わない。

4. ③について、「自己に不利益である」とは、基準としての明確性の観点から、相手方が証明責任を負うことをいうと解する。

5. ④について、主張事実を推認させるという意味で証拠と共通の働きをする間接事実や補助事実について、当事者間に争いがない場合には、裁判官はそれを前提として心証を形成する必要があるとすると、自由心証主義(247条)を事実上制約し、妥当でない。そのため、「事実」とは、権利の発生・障害・消滅・阻止などの法律効果の判断に直接必要な具体的事実である主要事実に限られると解する。

第2問[設問](5)について

1. そもそも、証明責任は、主張立証責任とともに当事者に対して立証活動の指針を与え、裁判所には訴訟指揮の指針を与える者であるから、明確かつ公平に分配されるべきである。そして、実体法を基準にして証明責任を分配するのは基準として明確かつ公平である。そのため、証明責任は、ある一定の法律効果の発生を求める者が当該法規の要件事実について負うものと考えられる。

2. ④の事実は、被相続人であるBが甲土地の所有権を有していたことを表す事実である。そうすると、法定相続分の限度で甲土地の所有権を有することの確認を求める者であるXにつき、かかる事実の証明責任を負うと考えられる。

3. したがって、④の事実について証明責任を負うのはXである。

第2問[設問](6)について

1. まず、④の主張は第1回口頭弁論期日において主張された弁論としての陳述であるから、要件①を満たす。
 次に、Xは④の事実を援用しているため、陳述が相手方の主張と一致していると言え、要件②を満たす。
 また、上記の通り④の事実の証明責任を負うのは相手方であるXであるため、陳述の内容が自己に不利益であるといえ、要件③を満たす。
 そして、④の事実は甲土地の所有権の来歴に関する事実であるところ、これは権利の発生についての法律効果の判断に直接必要な具体的事実である主要事実に該当するため、陳述の内容が「事実」を内容とするといえ、要件④を満たす。

2. 以上より、④の主張は裁判上の自白に該当するといえ、Xによる下線部⒝の主張は正当である。

以上


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