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2025年 商法 名古屋大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 商法 名古屋大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/20/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

名古屋大学法科大学院2025年 商法

設問Ⅲ

1. 仲立ち(商法502条11号)とは、他人間の法律行為の媒介を引き受ける行為をいう。商法上の仲立人とは、「他人間の商行為の媒介をすることを業とする者」(商法543条)のことを指し、商法544条以下が規定するような規制の対象となる。そして民事仲立人は、商法上の仲立人とは異なり、商行為以外の取引についてその媒介を業とする者のことを指す。両者ともに営業としてするときは、商行為となる。

2. 支払呈示がされた段階で、挙証責任の負担の下、手形債務者は支払いを強制される立場にあり、所持人の無権利を立証できずに敗訴すれば訴訟費用等の支払いを負担しなければならない危険な立場にある。そこで、悪意とは所持人が無権利であることを知っているだけでなく容易に証明して支払いを拒み得るのにあえて支払ったこと、重過失とは容易に証明して支払いを拒み得るのに拒まずに支払ったことにつき重過失があることをいう。

設問Ⅳ

1. 甲社とBとの間の本件契約は、本件総会決議の取消しの訴えにより無効とならないか。

2. 本件総会決議の取消しの訴えの判決の効力は遡及効を有する(839条反対解釈)ため、本件総会終結の時点より後に行われた本件契約の時点で、Aは甲社の取締役でなかったこととなる。そうすると、Aは代表取締役としての甲社の代表権(349条4項)なく本件契約を締結したものであり、甲社とBとの本件契約は無権代表行為として無効であるとも思える。

3. しかし、事後的に総会決議が取り消されることによって役員としての権利義務が認められなくなることは、取引の相手方の信頼を害するものである。そこで、表見代表取締役の規定(354条)を類推適用し、外観が存在し、会社に帰責性があり(「付した」)、取消事由について善意無重過失である場合にはかかる代表取締役の行為も有効と考える。

4. 本件で、Aは甲社の代表取締役に本件役会決議で就任しており虚偽の外観が存在し、本件総会により「付した」といえ、Bに取消事由について悪意重過失があったという事情はない。

5. よって、甲社とBとの間の本件契約は有効である。

以上



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