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2025年 商法 岡山大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 商法 岡山大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/30/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

岡山大学法科大学院2025年 商法

問題3

問1
 会社法(以下略)314条は、取締役等が株主から説明を求められた事項に対して「必要な説明」をしなければならない旨を規定しているから、「必要な説明」の程度が問題となる。
 同条の趣旨は、取締役等に株主に対する説明義務を定めることにより、株主に対して議決権行使の前提として、議題に対する判断の材料を与えることにある。そして、基準の明確性及び説明の相手方が多数人であることを考慮すれば「必要な説明」がなされているか否かは、平均的な株主を基準とするべきである。
 そこで、「必要な説明」とは、平均的な株主が、議題について合理的な理解及び判断をするために客観的に必要と認められる程度の説明であり、これがなされているかが同条の説明義務が尽くされたか否かの判断基準となる。

問2

1. Yは423条1項に基づき、A株式会社(以下「A社」という。)に対して任務懈怠責任を負うか。

⑴Yは、A社の代表「取締役」である。

⑵次にYが「任務を怠った」といえるか。
 A社の代表取締役Yが株主も取締役もY1人のB株式会社(以下「B社」という。)に10万円の貸付をしたこと(以下「本件貸付」)が直接取引(356条1項2号)に該当する場合には、本件貸付によって債権を回収できずA社に10万円の「損害」が生じているため、Yの任務懈怠が推定される(423条3項1号)。
 そこで、まず本件貸付が、直接取引に当たらないか、「自己又は第三者のために」の意義が問題となる。この点、基準の明確性の観点と、実質的に取締役に利益が帰属する取引は間接取引(同項3号)により規制すれば良いことから、直接取引は自己又は第三者の名義で行う取引であると解する。そして、名義は実質的ではなく形式的に判断する。本件においては、A社の代表取締役Yが、Yが代表者となったB社という名義人に対して、10万円を貸付けているため、本件貸付はB社という「第三者...のため」にA社の「取締役」たるYがした直接取引に該当する。
 よって、Yには任務懈怠が推定されるし、取締役会の承認(365条1項、356条1項柱書)を受けることなく行われた上記貸付は356条1項2号違反であり、推定を覆す事情はない。
 なお、本件は、「自己のためにした」(428条1項)直接取引ではないので、無過失責任とならないが、上述の通り取締役会の承認を得ていないので少なくとも過失は認められる。

2. よって、YはA社に対し、423条1項に基づき任務懈怠責任を負う。

以上


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