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2025年 商法 広島大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 商法 広島大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/20/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

広島大学法科大学院2025年 商法

小問(1)

1. 議決権行使の代理人資格を株主に限定する定款規定は効力を有するか。

⑴たしかに、議決権の代理行使を認めた会社法310条1項は、株主の議決権行使を容易にするために強行法規的に保障されるが、議決権を行使する代理人の資格を制限すべき①合理的理由がある場合に、定款の規定により、②相当と認められる程度の制限を加えることまでも禁止したものとは解されない。

⑵そして、代理人を株主に限る旨の規定は、株主総会が株主以外の第三者によって撹乱されることを防止し、会社の利益を保護する趣旨にでたものと認められ、合理的理由による相当程度の制限ということができる。

⑶よって、議決権行使の代理人資格を株主に限定する定款規定は同項に反することなく有効である。

2. では、議決権行使の代理人資格を株主に限定する定款規定が有効であるとして、会社は非株主による議決権の代理行使を常に拒絶することができるか。

⑴そもそも、代理権資格を会社の株主に限定する定款が有効なのは、株主総会が株主以外の第三者に撹乱されることを防止し、会社の利益を保護する必要性が認められるためである。
 そうだとすれば、株主総会の撹乱が生じない場合には、非株主による議決権の代理行使を認めたとしても、実害はない。また、議決権の代理行使を認めた会社法310条1項の趣旨に鑑みると、議決権行使の機会は最大限保護されるべきといえる。

⑵そこで、非株主による議決権の代理行使を認めても株主総会の撹乱が生じず、議決権の代理行使を否定すると株主の議決権行使の機会が事実上奪われる場合には、上記定款の効力は及ばず、会社は非株主による議決権の代理行使を拒絶することができない。

小問(2)

1. 株主の指示と異なる代理人の議決権行使は効力を有するか。
 確かに、株主の指示と異なる代理人の議決権行使は民法を適用すると権限逸脱行為であるから無権代理(民法113条1項)であり、効力を生じない。しかし、民法の想定する少数人間での意思表示とは異なり、議決権行使は株主や会社全体に関わる話であり、円滑な業務執行の確保のために民法の規定を適用することは妥当ではない。よって、株主による賛否の指示は単に委任者と受任者との内部的な関係にすぎず、投票自体の効力に影響を与えないと考えるのが妥当である。

2. 以上より、株主の指示と異なる代理人の議決権行使も効力を有する。

以上


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