11/25/2023
司法試験は日本の三大国家資格に数えられることも多いです。では、そもそも司法試験とは何か。どのような人が受験する試験か、司法試験の受験資格を得るための方法などを確認した上で、その全体像を解説していきます。
司法試験は、主に法曹三者を目指す人が、そのライセンスを手にいれるために受験する試験です。
法曹三者とは、①裁判官②弁護士③検察官 を言い、これらの職に就くためには原則として司法試験の合格が必要です。
司法試験に合格すると、司法修習を受ける資格が得られます。司法修習では、裁判所のもとで1年間の研修を行います。司法修習は二回試験(司法修習生考試)という試験に合格することにより修了します。
以下、法曹三者それぞれの特徴を見てみましょう。
裁判官は、基本的に司法修習を修了する際最高裁判所により採用されます。
採用人数は例年、司法修習修了者の数%のみと少数です。
裁判官は、弁護士からの転身も可能です。
「弁護士任官制度」により弁護士会などに推薦された弁護士が、面接や資料選考を経て任官されるケースがあります。
司法修習を終えても、採用されなければ検察官にはなれません。裁判官と同じく、検察官に採用されるのは司法修習修了生の数%と少数です。
以上のように、法曹三者になるためは、基本的には司法試験に合格し司法修習を修了することが必要です。中には司法試験合格後、法曹三者ではなく、官公庁職員、政治家、法務部員、税理士・弁理士になる人もいます。法曹三者にならなくても、法律の知識は社会のあらゆる場所で活用できるため、司法試験に合格すれば職業の選択肢は大幅に広がるでしょう。
法曹三者で最も人数が多いのが弁護士です。原則として司法修習を終了することで、弁護士となる資格を得ます。
司法試験の受験資格を得る方法は以下の3通りしか存在しません(司法試験法第4条)。まずは自分がどの方法を取るのが良いか確認しましょう。
❶ロースクールを修了する
❷司法試験予備試験に合格する
❸ロースクールに在学中で、指定科目の単位を取得し、特定の期間内に修了見込みとの認定を学長から受ける
❶ロースクールの修了はメジャーな資格取得ルートです。ロースクールへの入学には、原則大学の卒業又は卒業見込みが必要ですが、3年次での早期卒業制度も存在します。ロースクールによっては、書類選考等によって大学卒業又は見込みでない者も受験資格が認められる場合もあります。
メリット:修了により法務博士(専門職)の学位が得られる、共に学ぶ仲間ができる、法学を学ぶことができる
デメリット:学費がかかる、原則大学卒業資格が必要、高校卒業から司法修習修了まで最短8年かかる、仕事との両立が難しい
❷予備試験は受験資格にほとんど制限がない一方、合格者は受験者の数%で非常に難しい試験です。また、予備試験合格に必要な知識は、ロースクールで学ぶ内容と若干が異なる点に注意が必要です。しかし、合格すれば、ロースクールに比べ学費の制限なく司法試験を受験できるほか、法曹として就職する際の選考時に有利に働く場合があります。
メリット:ロースクールの学費がかからない、司法修習修了まで最短のルート、仕事と両立しやすい、合格後にロースクールに行くこともできる
デメリット:非常に難関
❸はいわゆる在学中受験制度と呼ばれるもので、所定の種類・数の単位を取得することでロースクールの最終学年時に司法試験の受験資格を得られます。2023年度に始まったばかりなので、まだデータがありません。この制度のおかげで、在学中に合格すれば、ロースクールを修了後、司法修習が始まるまで待つ期間がなくなります。なお、この制度を利用すると、5年間の司法試験受験制限が在学中受験時からスタートすることに注意が必要です。
メリット:ロースクール修了時に法務博士(専門職)が得られる、共に学ぶ仲間ができる、卒業と同時に修習生になれる
デメリット:ロースクールによってはカリキュラム上不可能だったり非推奨だったりする場合がある、授業と並行して司法試験の勉強をする必要性がある、司法試験受験の期間制限の起算点が早まる
司法試験の内容と試験日程について紹介します。
令和5年の実施日程
試験日:7月12、13、15、16日
短答式試験成績発表知:8月3日合格発表:11月8日
司法試験は2日目と3日目の間に中日をはさむ計4日間で、試験時間は合計約20時間というスケジュールになっています。これは、医師国家試験が2日間で約13時間半であることと比較しても、ハードなスケジュールで行われているといえます。試験日については、在学中受験制度導入により前年の5月から7月に時期が変更されました。
5日目の短答式(マークシート)以外は論文式の問題を手書きで解答することになりますが、令和8年の試験からからパソコンの導入が検討されています。
選択科目は労働法、経済法、倒産法、知的財産法、租税法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)、環境法の八つから一つ、出願時に選択します。
司法試験は非常に難しい試験で、その受験資格を得るためにも時間・費用がかかります。そもそも受験する必要があるのか、受験する場合はどの方法で受験資格を得るのかを確認した上で臨みましょう。
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