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2025年 商法 東北大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 商法 東北大学法科大学院【ロー入試参考答案】

5/16/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

東北大学法科大学院2025年 商法

 

第1問
 取締役会設置会社において、株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる(会社法295条2項)。これは、会社の所有者である株主が直接経営に関与するのではなく、経営の専門家である取締役で構成される取締役会に経営判断を委ねるという、所有と経営の分離を徹底する趣旨に基づく。そのため、株主総会の権限は、会社の基本的な重要事項等に限定されている。

第2問
 会社が特定の株主に対し、その「株主の権利の行使に関し」「財産上の利益」を供与することは、原則として禁止される(120条1項)。本件QUOカードの配布約束は議決権行使を行った株主という「特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与」(120条2項前段)に当たる。そのため、「当該会社は、株主の権利の行使に関し、財産上の利益を供与をしたものと推定」される。本件でこれを覆す事情がなければ、当該定款変更決議は、「決議の方法が法令に違反するとき」(831条1項1号)にあたり、株主は決議の日から3か月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。

第3問
 株式会社がその代表取締役の個人的な債務を保証する契約は、「株式会社が取締役の債務を保証すること」にあたり、間接取引(356条1項3号)に該当する。すると、取締役会設置会社であるA社においては、当該取引につき取締役会の承認を受けなければならない(365条1項、356条1項柱書)。この承認を欠く場合であっても、当該保証契約が直ちに無効となるわけではなく、会社は、取引の相手方であるCが取締役会承認を経ていないことを知っていた場合に限り、契約の無効を主張することができる。したがって、Cが悪意であれば、A社は保証債務の履行を拒否でき、Cは保証債務の履行を請求できない。

第4問
 「直接損害」とは、役員等の任務懈怠行為によって、会社財産への損害を経由することなく、第三者(株主や会社債権者など)が直接的に被った損害をいう。例えば、役員が第三者を欺いて株式を取得させ、その第三者が損害を被った場合などが該当する。
 「間接損害」とは、役員等の任務懈怠行為によって、まず会社に損害が発生し、その結果として会社財産が減少したことによって、第三者が間接的に被った損害をいう。例えば、役員の経営判断の失敗により会社が倒産し、株主が株式の価値を失ったり、会社債権者が債権を回収できなくなったりした場合の損害がこれに該当する。

第5問
 株主が死亡し、その保有株式が複数の相続人に共同相続された場合(民法896条、898条1項)、当該株式は遺産分割が完了するまで共同相続人の準共有となる(264条)。準共有株式について株主総会で議決権を行使するためには、まず共同相続人間で権利を行使する者1名を定め、株式会社に対してその者の氏名又は名称を通知する必要がある(106条本文)。この権利行使者の指定は、共有物の「管理」(民法252条1項)に該当するため、共同相続人の持分の価格に従い、その過半数をもって決定される必要があると考えられる。

以上

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