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2025年 憲法 愛知大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 憲法 愛知大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/25/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

愛知大学法科大学院2025年 商法

1. 本件におけるYの措置(以下「本件措置」)は、Xらが自己の信仰する宗派の成立と発展に関する研究発表を行う自由(以下「本件自由」)を侵害し、違憲ではないか。

⑴Xらの文化祭における研究発表は、自己の信仰する宗派の成立と発展に関するものであり、信仰に関する布教活動という性格を有する。よって、上記発表は信教の自由(憲法20条1項前段)の一つである宗教的行為の自由であるから、本件自由は同項により保障される。

⑵本件措置において、YはXらの研究発表を認めていない。それにより、Xらは文化祭において研究発表する機会を失っているが、Xらの応募はB高校に対し、文化祭を利用し研究発表することを要求するものであり、自由権の侵害とは異なるとも思える。しかし、文化祭は基本的には生徒の自主性に基づき行われるものであるため、生徒が自由に文化祭で発表できるのが原則であり、本件措置によりかかる原則が破られているから自由権の侵害があると言える。よって、本件措置により本件自由は制約されている。

⑶しかし、本件自由も無制約ではなく、学校教育の目的を達成するために学校長に認められた包括的権能に基づく制約がありうるが、かかる制約として正当化されるか。

ア まず、宗教的行為は自身が素晴らしいものとして信仰するものを他者にも広げたいという当然の感情を実現するものであり、また、絶対的に保障される内心における信仰心とも密接に関連するものであるから、本件自由は重要なものである。

イ 次に規制態様についてみるに、本件措置は事後的なものではなく事前にXらの発表を認めないというものであり規制態様が強い。しかし、本件措置は、内面の信仰に対してのものではなく、外形の行為に対するものであり、宗教の教えそのものではなく宗派の成立と発展に対する発表に対するものであるため、この点においては規制態様は強いとは言えない。

ウ そこで、中間審査基準によるべきであり、目的が重要で、手段が目的と実質的関連性を有する場合には本件制約も正当化される。

⑷まず、公立高校における教育も、公権力行使の一場面であるため宗教的中立性が保たれることが憲法上の要請であるから(20条3項)、公立学校における宗教的中立性の確保という本件措置の目的は重要である。
 次に、手段の目的適合性について、YがXの研究発表を認めることが政教分離原則に反すると言えれば、研究発表を認めなかった本件措置は目的に適合すると言える。
 では、政教分離に反するかの判断基準をいかに解すべきか。

ア 政教分離規定の趣旨は、国家と宗教の分離を制度として保障することによって間接的に信教の自由を保障する点にある。
 かかる趣旨から、国家と宗教の分離は厳格にすべきとも思える。
 しかし、福祉国家理念(25条以下)の下、完全な分離は不可能であるから、社会的・文化的諸条件に照らし、相当とされる限度の関わり合いは認めるべきである。
 そこで、「宗教的活動」とは当該行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助・助長・促進又は圧迫・干渉等になるような行為をいうと解する。
 そして、その判断は行為の外形のみにとらわれず、当該行為の行われる場所、当該行為に対する一般的評価、当該行為者の意図、目的及び宗教的意識の有無、当該行為が一般人に与える効果、影響等諸般の事情を考慮し、社会通念に従って客観的になすべきである。

イ 本件で、文化祭は学校のカリキュラムを離れ、生徒が自律的に行うものであるから、Xらの発表を認めたとしても、それは学校がある宗教の発展に寄与することを目的としたものではなく、生徒の自主性を尊重することを目的とするものである。よって、Xらの発表を認めることは、その目的が宗教的意義を持つとは言えない。
 また、その効果についても、たしかに公立高校内で特定の宗教に関する発表がされていると、その発表を見た者は当該宗教をB高校が特別に支援しているという印象を与えるとも思える。しかし、本件の発表は文化祭の多数ある発表の一つとして行われるに過ぎず、また、文化祭が生徒の自由な発表の場だという世間一般の認識がある以上、B高校が特別に支援しているという印象は与えない。そして、発表される内容も宗教の教えそのものではなく宗派の成立と発展に関するものである。よって、もしXらの研究発表を認めたとしても社会通念上Xらの信仰する宗教に対する援助・助長・促進又は他の宗教に対する圧迫・干渉等にはなるような効果はない。

ウ 以上より、Xらの研究発表を認めることが政教分離原則に反するとは言えないため、本件措置は目的に適合せず、手段が目的と実質的関連性を有するとは言えない。

2. よって、本件措置は本件自由を侵害し違憲である。

以上

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