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2022年 商法 神戸大学大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2022年 商法 神戸大学大学法科大学院【ロー入試参考答案】

7/22/2024

The Law School Times【ロー入試参考答案】

神戸大学大学法科大学院2022年 商法

問1

「株式会社の資本金の額は、…株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み…の額とする」(445条1項)。もっとも、「払込み…に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる」ため、本件新株発行の払込み係る額の総額は400万円であるから、甲社は、200万円以上の額につき資本金として計上しなければならない。

問2

1. 乙社は、本件新株発行が2021年11月29日を効力発生日として実施されていることから、2022年4月1日時点においては、募集株式発行無効の訴え(828条1項2号)を提起することができる。以下、無効原因につき検討する。

(1) 有利発行であること

 本件新株発行は、甲社が資本金1000万円、発行済株式1000株であるにもかかわらず、1株あたり5000円に定められている。そのため、乙社は、同訴訟において、まず本件新株発行は有利発行(199条3項)であるため、株主総会決議によらなければならない(201条1項)にもかかわらず、株主総会決議によらずに実施されていることを無効事由として主張することが考えられる。しかし、甲社は公開会社であるところ、公開会社においては、株式発行にかかる株主総会決議や取締役会決議が不存在であったとしても、内部的手続の欠缺に過ぎず、当該株式発行は無効とならないものと解される。したがって、乙社の上記主張は認められない。

(2) 「著しく不公正な方法」にあたること

 次に、乙社は、本件新株発行は、甲社取締役らが、乙社が株式を買い増して支配権を握ろうとしている疑惑があると判断し、乙社による経営権の奪取を防ぐために行ったものであるため、「著しく不公正な方法」(210条2号)によるものであることを無効事由として主張することが考えられる。しかしながら、新株発行は会社の業務執行に準じるものであるから、それが不公正発行であったとしても、取引の安全のために有効とするべきである。したがって、乙社の主張は認められない。

(3) 通知・公告の欠缺

 さらに、乙社は、募集事項の通知・公告の欠缺を無効事由として主張することが考えられる。募集事項の通知・公告は、株主の差止請求権の行使の機会を保障することを目的として義務付けられたものであるから、これを欠くことは、株主の差止請求の機会を失わせるものである。よって、他に差止事由がない場合を除いて無効事由にあたると解する。
 本件では前述の通り、210条2号の差止事由があるため、乙社の主張は認められる。

2. よって、裁判所は、株式発行無効の訴えに係る請求を認容する。

以上


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