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2024年 刑事訴訟法 岡山大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2024年 刑事訴訟法 岡山大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/20/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

岡山大学法科大学院2024年 刑事訴訟法

問題2 設問1

1. 強制採尿を行う捜査は許容されるか。
 この点について、強制採尿の持つ身体への危険性は医師等の専門技術者が相当な方法でなす限り比較的少ないし、同様の屈辱感等は被害者を裸にする検証としての身体検査(刑訴222条1項、131条)の場合にも同程度のことはあり得る。
 そこで、被疑事件の重大性、嫌疑の存在・当該証拠の重要性とその取得の必要性・適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪捜査上真にやむを得ないと認められる場合に、最終的手段として適切な法律上の手続を経て行うのであれば許される。

2. したがって、かかる場合には、強制採尿も許容される。

設問2

1. 強制採尿を行う場合、いかなる令状を用いることが適切か。

2. そもそも、尿は体外に排出される無価値物であって、「物」としての性格が強い。
 したがって、その占有を強制的に取得する行為は捜索・差押えの性質を有しているといえるから、捜索・差押許可状(218条1項)による必要があると解する。
 もっとも、強制採尿は、尿の採取に体内侵襲を伴うため、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有し、被疑者の人権を侵害するおそれがある。
 そこで、218条6項を準用し、医師をして医学的に相当と認められる方法で行わなければならない旨の条件を令状に記載することが不可欠と解する。

3. よって、捜索差押許可状を用いるが、医師をして医学的に相当と認められる方法で行わなければならない旨の条件を令状に記載することが必要である。

設問3

1. 強制採尿が認められるか否かは、前述の基準の通り、犯罪捜査上真にやむを得ないと認められる場合に、最終的手段として適切な法律上の手続を経て行うのであれば許される。
 では、本件では、かかる場合にあたり、裁判官は令状を発付すべきか。

2. 前述の基準で本件についてみると、まず、覚醒剤取締法の使用罪は10年以下の懲役という重大な犯罪であり、被疑事件は重大である。
 次に、甲は、ろれつが回らなかったり、暑い時期ではないにもかかわらず半袖のシャツを着て汗を多量にかいているなど、覚醒剤の乗用車によくみられる様子であった上に、現に覚醒剤を所持しており、嫌疑の存在は大きい。
 さらに、覚醒剤事案については体内に残留した覚醒剤が唯一の客観的証拠である場合が多く、尿検査は非常に重要な証拠収集手続きである。そうすると、Kが強制にあたらないように再三の説得を試みているのにも関わらず、甲がかたくなに拒否をしている以上、強制採尿の必要性は強い。また、甲は再三の説得にもかかわらず尿検査を拒否しており、翻って任意に応じることは考え難いため、代替手段は認められないといえる。
 そうだとすれば、本件では、犯罪捜査上真にやむを得ない場合と認められる。

3. したがって、本件において、裁判官は、令状を発付すべきであるといえる。

以上




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