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2025年 民事訴訟法 東北大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 民事訴訟法 東北大学法科大学院【ロー入試参考答案】

5/19/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

東北大学法科大学院2025年 民事訴訟法 

第1問 (1)
 判例・実務における訴訟物理論(旧訴訟物理論)によれば、訴訟物は、実体法上の権利又は法律関係ごとに個別に特定される。
 したがって、本件訴訟及び別件訴訟の訴訟物は、消費貸借契約に基づく貸金返還請求権である。

第1問 (2)
 別件訴訟は、本件訴訟の係属中に提起されたものであり、両訴訟の当事者は実質的に同一で、訴訟物も実質的に同一の法律関係の存否を対象としているため、重複起訴(142条)に該当しないか。
 142条の趣旨は、既判力(114条1項)の矛盾抵触の防止、訴訟経済、被告の応訴の煩の回避に求められる。そこで、同条に反するかは、当事者の同一性及び訴訟物の同一性から判断するべきであると解する。
 本件で、本件訴訟及び別件訴訟の当事者はいずれもX及びYであり、同一である。また、訴訟物についても上記のとおり同一である。
 したがって、別件訴訟は142条に反し、不適法である。

第2問 (1)
 主要事実とは、実体法規に定められた法律効果の発生・障害・消滅・阻止等を直接基礎づける具体的事実をいう。これに対し、間接事実とは、主要事実の存否を推認させる事実をいう。
 本件において、Yは本件契約①に基づく債務の消滅原因として弁済の抗弁を主張している。この弁済の抗弁における主要事実は、「Yが、Xに対し、本件契約①の弁済として、2020年10月10日に150万円を支払った」という事実である。
 これに対し、Xが主張する「Yの主張する弁済は本件契約①ではなく本件契約②に対する弁済である」という事実は、Yの主張する弁済が本件契約①の債務消滅原因となることを否定するものであり、Yの主張する弁済の抗弁の主要事実の不存在を推認させる事実、すなわち間接事実に該当すると解される。

第2問 (2)
 そもそも弁論主義とは、訴訟資料の収集・提出を当事者側の権能かつ責任とする原則をいい、その趣旨は当事者意思の尊重にあり、機能は、当事者に対する不意打ち防止にある。そのため、裁判所は、当事者が主張していない事実を認定して判決の基礎とすることは許されない(弁論主義第1テーゼ)。この原則は主要事実に適用される。なぜなら、弁論主義の趣旨及び機能から、訴訟の勝敗に直結する主要事実に弁論主義を及ぼせば足りるし、証拠と共通の働きをする間接事実や補助事実に弁論主義を及ぼすと、自由心証主義(247条)を過度に制約することになるためである。
 本件において、裁判所は、「Yの弁済は本件契約①ではなく本件契約②に対するものである」との心証(本件心証)を得ている。しかし、この事実は(1)で述べたとおり、Yの弁済の抗弁(主要事実)を否定するための間接事実にすぎない。そのため、かかる事実に弁論主義は適用されず、裁判所は本件心証に基づいてXの請求を認容する判決を下すことができる。

以上


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