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2024年 民事訴訟法 同志社大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2024年 民事訴訟法 同志社大学法科大学院【ロー入試参考答案】

2/4/2024

The Law School Times【ロー入試参考答案】

同志社大学法科大学院2024年 民事訴訟法

問1

1. 裁判所は本件訴訟の弁論準備手続において、本件売買契約書の取り調べと証人Aの尋問を実施することは可能か。

2. 民事訴訟法(以下略)168条は「争点及び証拠の整理を行うため必要があると認める時」に事件を弁論準備手続に付することができるとしている。そのため、弁論準備手続では「証拠の整理」を行うことも認められている考えられるところ、170条2項は「文書の〜証拠調べ」をすることが許されている。

3. よって、「文書」である本件売買契約書の取り調べを行うことは可能である一方で、「文書」当たらない証人Aの取調べを行うことは不可能である。

問2

1. 弁論主義とは、裁判の基礎となる事実や証拠の収集・提出を当事者の権能かつ責務とする建前である。そして、その内容として、裁判所は当事者から主張されていない事実を判決の基礎とすることができないという、弁論主義第1テーゼがある。

⑴ そして、弁論主義の適用がある事実とは、主要事実に限られる。なぜなら、間接事実や補助時事実は証拠と同様の役割を果たすため、これらの事実にまで弁論主義を適用すると、裁判官の自由心証(247条)を害するためである。

⑵ そのため、売買契約書の偽造及びから本件商品を買い受けたのはZであるという事実が主要事実に該当するかが問題となる。

⑶ ア この点、主要事実とは、権利の発生、変更、消滅という法律効果の発生に直接必要な事実をいう。

イ 本件では、「売買契約書が偽造である」という事実は、本件売買契約書が真正に作成されたものなのかどうか、すなわち形式的証拠力を判断するための補助事実にすぎず、主要事実に当たるものではない。また、「Xから本件商品を買い受けたのはZである」という事実は、XがZに商品を売ったということはXがYとの間でも同様の取引を行う可能性が低いということを基礎づけ、XとYの間の売買契約成立の事実が存在しなかったことを推認させるための間接事実に留まるのであり、主要事実ではない。よって、両事実とも主要事実ではないのであるから、本件判決を行っても弁論主義に反するものではない。

問3

1. 訴訟告知による参加的効力(民訴 53 条 4 項、46 条)が被告知者に及ぶためには、少なくとも、被告知者が告知者側に補助参加をする利益を有することが要求される。そこで、本問では、ZがX側に参加することについて、補助参加の利益があったのかが問題となる。

2. ⑴ 補助参加の利益が認められるためには、「訴訟の結果」について「利害関係」があることが必要である。

⑵ 補助参加制度の趣旨は、当事者以外の者が訴訟に参加して、被参加人の訴訟活動を補助することにより、被参加人に対して敗訴判決がなされることによる補助参加人が受ける法的不利益を防止することにある。

⑶ そうだとすれば、「利害関係」とは、法律上の利害関係に限られ、法律上の利害関係とは、当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいう。
 そして、「訴訟の結果」とは、判決理由中の判断も含む。なぜなら、上記のような法的利益に対する影響は訴訟物に対する判断のみならず、判決理由中の判断からも生じ得るためである。

⑷ 本件では、「Xから本件商品を買い受けたのはZである」という判決理由中の判断は、XからZへの売買代金支払請求訴訟の要件たる売買契約の締結それ自体を示すものであって、Zの売買契約当事者の地位の有無という法的地位に影響を及ぼすことは明らかである。

⑸ よって、ZにはX側への補助参加の利益が認められる。

3. ⑴ 以上より、Zに対して訴訟告知による参加的効力が及んでいるところ、参加的効力の客観的範囲は判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断、すなわち、判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいうのであって、これに当たらない事実または論点において示された認定や法律判断を含むものではないと解するべきである。
 なぜなら、判決の理由とは判決の主文に掲げる結論を導き出した判断過程を明らかにする部分をいい、これは主要事実に係る認定と法律判断などをもって必要にして十分であると考えられるためである。

⑵ 本件では、前訴判決の主文を導くために必要な主要事実は、「Yが買主でないこと」である。すると、「Zが買主であること」は判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断とはいえない。本問における「Xから本件商品を買い受けたのはZである」という本件判決の理由中の判断は、間接事実に係るものであるため、この判断には参加的効力が生じない。

4. したがって、Xの主張は認められない。

以上

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