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2025年 行政法 同志社大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 行政法 同志社大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/19/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

同志社大学法科大学院2025年 行政法

問⑴
 本件命令の根拠規定は建築基準法9条1項であるところ、本件命令は、Xが地盤の崩落による危害を防止するために必要な措置を講じなければならない旨を規定する同法90条1項という「建築基準法令の規定」に違反しているとして行われているものである。よって、同法90条1項違反は本件命令を発するための要件であり、Xが本件工事の施工に伴う地盤の崩落による危害を防止するために必要な措置を講じていないとするY市長の判断に裁量は認められるかについては、要件裁量の問題である。
 そして、同法90条1項違反は同法101条18号において刑罰の要件ともされている。よって、同法9条1項の本件命令という行政行為の要件と、101条18号という刑罰の要件がともに90条1項違反という点で共通している。ここで、刑罰の要件は明確に定められなければならず、その構成要件該当性の司法審査が当然に要請されることから、同一の要件につき行政行為の司法審査に限って要件裁量が認められることに合理的理由が認められない。
 よって、本件でY市長の判断に裁量は認められない。

問⑵

1. Xは、本件命令は裁量を逸脱濫用し違法である(行政事件訴訟法30条)と主張する。

⑴まず、本件命令に要件裁量が認められないのは上述の通りであるが、除却や移転と言った命令内容に様々な選択肢があること、また、「その他…必要な措置」という概括的記載があり、「できる」という文言もあることから、建築基準法9条1項の命令には効果裁量が認められる。

⑵では、本件命令はかかる効果裁量に逸脱濫用して違法となるか。裁量の逸脱濫用の判断基準が問題となる。

ア この点、判断が重要な事実の基礎を欠くか、社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には、その裁量の逸脱濫用があったものとして違法となると考える。

イ 本件で、AはXがとった簡単な応急措置では建築基準法90条に定める「必要な措置」を講じたことにはならないのであるから、本件命令は裁量の逸脱濫用はないと主張することが考えられる。しかし、除却というのは同項に列挙されている他の措置の中で、建築物がなくなってしまうという点で最も重い処分である。確かにXは「必要な措置」を講じることはできていないものの、応急措置は行っているため、他の軽い処分を経ることなく最初から最も重い除却を命じることは比例原則に反し、判断が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであると言える。

ウ よって、本件命令は効果裁量を逸脱濫用していると言える。

⑶よって、本件命令は違法である。

以上

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