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2025年 民法 愛知大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 民法 愛知大学法科大学院【ロー入試参考答案】

7/3/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

愛知大学法科大学院2025年 民法

設問1

1. Xは605条の4第2号に基づき、Aに対し甲を明け渡すように請求できないか。

⑴土地の賃貸借はその登記がなくても、土地の上に賃借人が登記されている建物を所有するときは、対抗要件を満たしていると言えるところ(借地借家法10条1項)、Xは甲の上にXが登記されている建物を所有していない。よって、Xは同項に基づく対抗要件を備えていない。また、賃貸借の登記(605条)もされていない。

⑵よって、Xは「第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた」とは言えず、上記請求をすることができない。

2. Xは甲の所有者たるYが有するAに対する甲土地明渡請求権を代位行使(423条1項本文)できないか。

⑴AがYに無断で未使用看板や廃材の保管場所として甲を使用していることにより、XがYに対して有する甲を使用収益させてもらう権利(「自己の債権」)が侵害されているため「保全するため必要がある」と言える。本件のような債権者代位権の転用においては債務者の無資力要件は必要ではなく、使用収益権は一身専属的な権利でもない(同条1項ただし書)。

⑵よって、Xは上記請求をすることができる。

3. XはAに対し占有回収の訴え(200条1項)を提起することが考えられるが、かかる訴えは認められるか。

⑴AはXやYに無断で未使用看板や廃材の保管場所として甲を使用しており、Xは「その占有を奪われた」と言える。

⑵また、周辺住民によるとAが甲を占拠し始めたのは半年ほど前からと「一年以内」であるから、占有回収の訴えの出訴期間を満たす(201条3項)。

⑶よって、Xの上記訴えは認められる。

設問2

1. 本件契約において、賃借人の債務不履行があれば催告なしに直ちに契約を解除できる旨の特約がなされていたのであるが、Xが取引先の倒産によって資金難に陥り、賃料の支払いが10か月間滞った状態で、かかる特約により、本件契約を無催告解除することはできるか。

2. この点、賃料延滞の場合の無催告解除特約は、催告がなくても不合理と認められない事情がある場合は有効であると考える。そして、不合理であるかは、賃借人の債務不履行があっても、当事者間の信頼関係を破壊する程度の義務違反ではない場合は、賃貸人が解除権を行使することは信義則上(1条2項)許されないとする信頼関係破壊の法理をも考慮して判断する。

3. 本件で、Xは10か月と言う相当長期間にわたり賃料の支払いを滞らせており、また、その理由も取引先の倒産と言う回復不可能な事情により資金難に陥っているものであるため、資金難から回復する見込みも少ない。そして、本件契約は10年契約であるところ、本件賃料の延滞は8年目の時点であり、残り2年という少ない契約期間で回復し、再び賃料を滞りなく払うようになると言うことは期待しづらい。よって、XY間の信頼関係は破壊されているといえ、催告がなくても不合理とは認められない。

4. 以上より、Yは本件契約を無催告解除することができるため、Yに対して直ちに甲を返還するよう請求できる。

以上

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