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2023年 行政法 神戸大学大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2023年 行政法 神戸大学大学法科大学院【ロー入試参考答案】

7/22/2024

The Law School Times【ロー入試参考答案】

神戸大学大学法科大学院2023年 行政法

第1問

第1 小問1

1. B県指針は行政指導指針にあたる。

⑴ 「行政指導指針」(行政手続法2条8号ニ、以下「行手法」という。)とは、同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいう。

⑵ B県指針は、森林法第10条の2第1項に基づく許可の申請を予定するものに対し事前相談や地元説明を求めているが、B県が同指針に基づいてかかる要求を行うことは、行政機関が行政目的を実現するため特定の者に対してする指導、勧告、助言その他の行為たる「行政指導」(行手法2条6号)にあたるものといえる。
 そのため、これを一般的に定めたB県指針は、法10条の2第1項に基づく申請を予定する者という一定の条件に該当する複数の者に対し上記の行政指導をしようとするときに、これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項といえるから行政指導指針にあたる。

2. B県許可基準は審査基準にあたる。

⑴ 「審査基準」(行手法2条)とは申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。

⑵ まず、森林法10条の2第1項に基づく許可の申請は、森林法という法令に基づき、行政庁の許可を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされている「申請」(行手法2条3号)にあたる。そして、B県許可基準のうち、「第4 水資源確保の要件」は、右申請により求められた許可をするかどうかを森林法10条の2第2項2号の定めにしたがって判断するために必要とされる基準であり、かかる基準は行手法5条1項に基づき定められ、同3項により公表されているものである。

⑶ したがって、B県許可基準は審査基準にあたる。

第2 小問2

1. まず形式的要件として、「農林水産省令で定める手続に従い」(森林法10条の2第1項)許可を受けることを定めている。

2. 次に実体的要件として、「当該開発行為をする森林の現に有する土地に関する災害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。」(同条2項1号)「当該開発行為をする森林の元に有する水害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがあること。」(同項1号の2)「当該開発行為をする森林の現に有する水源のかん養の機能からみて、当該開発行為により当該機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。」(同条2号)の「いずれにも該当しない」(同項柱書)こととされている。

3. 「地域森林計画の対象となっている民有林(中略)において開発行為(土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為(中略)をいう。以下同じ。)をしようとする者は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならない。」(森林法10条の2第1項)

第3 小問3

1. 森林法10条の2第1項の委任を受けて、許可申請の手続方法を定める森林法施工規則4条2号では、「開発行為に係る森林について当該開発行為の施行の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていることを証する書類」の提出を要求している。さらに、本件許可基準第1―1①は、「相当数の同意」について具体的に「3分の2以上」としている。
 ところが、本件申請には、本件開発区域においてA以外で唯一所有地を有するDの同意書が添付されず、Dの同意を得ていることが明らかといえない。したがって、本件許可基準第1―1①に形式的に従うならば、不許可とすべきと思える。

2. しかしながら、本件開発区域において、Aは55%もの所有面積を有する。また、AはDに対し、本件開発区域内のD所有部分の買い取りなどを提案し、本件開発行為をすることについての同意の取り付けを交渉中である。本件開発区域の多くはA自身の所有であること、唯一他に所有地を有するDには継続的に交渉を行なっていることから、開発行為の工事が完遂される蓋然性は十分確保できているものといえる。

3. よって、上記のような個別事情を考慮し、Aの申請は不許可とすべきでない。

以上

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