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2023年 憲法 東北大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2023年 憲法 東北大学法科大学院【ロー入試参考答案】

2/29/2024

The Law School Times【ロー入試参考答案】

東北大学法科大学院2023年 憲法

問1

1. 外国人の人権享有主体性について
 憲法は「国民は、全ての基本的人権の享有を妨げられない」(憲法(以下略)11条)と記載しており、「国民」との文言からは、外国人が基本的人権を享有する旨は明文にない。
 一方で、人権が前国家的・前憲法的な性格を有するものであり、また、憲法が国際主義の立場から条約及び確立された国際法規の遵守を定め(98条)、かつ人権の国際化の傾向が認顕著に見られることを考慮し、外国人にも人権享有主体性を認めるべき場合が存在するとの考えにより論点となりうる。

2. 団体・法人について
 人権は個人の権利であるから、その主体は本来人間でなければならない。しかし、経済社会の発展に伴い、法人その他の団体の活動の重要性が増大した。また、法人の活動が自然人を通じて行われ、その効果は究極的には自然人に帰属するうえ、法人が1個の社会的実体として重要な活動を行っていることを考えると、法人もまた人権享有主体性を有するべきであるとの考えが論点となる。

3. 天皇について
 天皇・皇族も、日本国籍を有する日本国民であり、人間であることに基づいて認められる権利は保障される。ただ、皇位の世襲と職務の特殊性から、必要最小限度の特例が認められる。そして、その制約の程度は人権により異なり、天皇がいかなる人権を享有しうるのか、その人権の種類ごとに適用を巡って論点となる。

問2

1. 上述の通り、人権が前国家的・前憲法的な性格を有するものであり、また、憲法が国際主義の立場から条約及び確立された国際法規の遵守を定め(98条)、かつ人権の国際化の傾向が認顕著に見られることを考慮し、外国人には権利の性質上適用可能な人権規定である場合には、人権享有を認めるのが判例・通説である。

2. その次に問題となるのは、権利の性質上適用可能な人権規定を決める考慮要素はなんなのかということである。
 そして、この問題を検討する際の主な要素はその権利の法的性質や種類、すなわち、その権利が参政的権利なのか、社会権であるかといった、権利ごとの公益性や国家裁量性を加味するものである。その結果、全体像として、参政権は国民が自己の属する国の政治に参加する権利であることを考慮し、当該国家の国民にのみ認められるものと解し狭義の参政権は外国人には及ばない。
 また、社会権についても、国家からの援助を受ける権利は各人の所属する国によって保証されるべき性質を持つものであり、個別に法律によって外国人に保障を及ぼすことはもとより、憲法上の保障としては及ばないものと考えられている。
 他にも、国際法上外国人の入国は当該国家の裁量とされていることから、外国人には再入国の権利も保障されていない。

以上

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