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2025年 民事訴訟法 明治大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2025年 民事訴訟法 明治大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/30/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

明治大学法科大学院2025年 民事訴訟法

設問1

1. 「当事者尋問において、一方当事者が自己に不利益な事実を認める旨の陳述をしても、裁判上の自白は成立しない」という命題は真である。以下理由を述べる。

2. 証拠資料と訴訟資料の峻別に反すること
 弁論主義は、訴訟資料の収集および訴訟の場への提出が、当事者の権能かつ責任であるとする原則であり、私的自治の原則が訴訟法上も妥当することをその根拠とする。
 そして、弁論主義の第1テーゼは、裁判所が当事者が主張していない事実を裁判の基礎とすることはできないとする原則である。つまり、裁判所は、証拠調べによって心証を得た事実でも、口頭弁論によって主張がされていなければ、それを基礎として裁判をすることはできない。その結果、証拠資料と訴訟資料の峻別がなされ、不意打ちが防止されることとなる。
 しかし、当事者尋問における不利益事実の陳述に裁判上の自白を認めれば、弁論主義の第2テーゼにより、裁判所はその事実を前提とすることになる。これは、証拠資料を実質的に訴訟資料として用いるものであり、証拠資料と訴訟資料の峻別に反し、不意打ちとなるため弁論主義の第1テーゼに反する。

3. 裁判上の自白の要件を満たさないこと
 弁論主義の第2テーゼは、当事者間で争いのない事実(自白事実)については、証拠調べなしに裁判の基礎にしなければならない(159条、179条参照)とする原則である。そして、裁判上自白が成立するためには、口頭弁論または弁論準備手続期日における弁論としての陳述で、相手方の主張と一致する、自己に不利益な事実の陳述がなされる必要がある。
 もっとも、当事者尋問は証拠調べ手続であり、証拠方法としての当事者の陳述は証拠資料になるに過ぎない。そのため、当事者尋問中の不利益陳述は弁論としての陳述とは言えない。したがって、当事者尋問において、一方当事者が自己に不利益な事実を認める旨の陳述をしても、裁判上の自白は成立しない。

設問2

1. 裁判所は、「YはXに対し、2000万円の支払を受けるのと引き換えに、甲土地の登記移転手続きをしろ。」という引換給付判決を下すべきである。
 もっとも、このような判決は、当事者が申し立てていない事項について判決をするものであり、処分権主義(246条参照)に違反するのではないか。

2. 処分権主義とは、当事者に訴訟の開始、審判対象の特定やその範囲の限定、さらに判決によらずに終了させる権能をみとめる建前をいう。
 ①原告の意思の尊重、②被告の不意打ち防止の観点から、処分権主義違反を判断する。

3. 本件では、原告は2000万円を未払いなのだから、2000万円を支払ってでも所有権を移転してほしいと考えるのが通常であると言える。よって①を満たす。また、被告にとっても代金2000万円分で登記を移転するのは通常の売買契約締結と同じ帰結になるものであり、不意打ちではないから②も満たす。

4. 以上より、処分権主義には違反しない。したがって、上記のような引換給付判決を下すべきである。

以上

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