広告画像
2024年 民事訴訟法 筑波大学法科大学院【ロー入試参考答案】
後で読むアイコンブックマーク

2024年 民事訴訟法 筑波大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/30/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

筑波大学法科大学院2024年 民事訴訟法

設問(1)

1. 一部請求については、訴外においては分割行使が許容されることとの均衡を図る必要があること、及び試験訴訟を認める必要性があることから、肯定する見解が存する。

2. その一方で、一部請求を認めた場合、被告は一つの債権について何度も応訴を強いられることとなり、防御上の不利益が大きいとして、否定する見解がある。

3. この点、判例は一部請求であることを明示することを条件として、一部請求の訴えを認めている。このとき、訴訟物については明示された範囲に限定されることとなる。

設問(2)

1. まず、訴訟物は一部請求で明示された400万円であるため、残部である600万円について既判力(114条1項)は生じない。そのため、後訴における残部請求は既判力に抵触するとして棄却されることにはならない。

2. しかし、一部請求であっても審理については債権全体に対して行われるものであるところ、一部請求に対して一部認容判決が下された場合、残部は存在しないとの判断がなされたものと解される。そうすると、後訴において残部請求を行うことは、実質的には既になされた審理の蒸し返しであり、前訴における紛争解決に対する相手方の合理的な期待に反し、二重の応訴の負担を強いるものである。

3. したがって、債権全体について審理が尽くされなかったといえる特段の事情がない限り、信義則(2条)に反し、残部請求は却下される。

設問(3)

1. 判例の考え方によれば、裁判所は以下のように判断することとなる。

⑴判例は、原告の意思としては、過失相殺をなされることを想定して一部請求を行うと考えられること、及び被告としても紛争の一回的解決を望むと考えられることから、債権全体を基準として過失相殺を行うのが相当であるとしている。

⑵本件では、債権全体である1000万円を基準として、原告:被告=2:3の過失相殺が行われることとなる。そうすると、残額は600万円であり、原告の一部請求は全部認容されることとなる。

2. 他の学説として、按分説という考え方が存する。この考え方による場合、請求額が過失割合に応じて減額される。本件では、請求額である600万円を原告:被告=2:3の割合で過失相殺することになるため、360万円の限度で一部認容されることとなる。

以上

おすすめ記事

ページタイトル
ロースクール

慶應ロー入試模試昨年度版題販売のお知らせ

ページタイトル
ロースクール

【最新版】ロースクール入試ハンドブック公開!全34校の説明会/出願/試験日程・入試科目・過去問リンクが一冊に!【2026年度入学者向け】

#ロースクール
ページタイトル
キャリア

【80期向け・就活カレンダーあり】企業法務系法律事務所、就活徹底ガイド

#就活