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2024年 憲法 中央大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2024年 憲法 中央大学法科大学院【ロー入試参考答案】

7/21/2024

The Law School Times【ロー入試参考答案】

中央大学法科大学院2024年 憲法

設問1

1. 臨時特措法は、特定懸念人物の国内所在資産を保有する自由を侵害するものとして憲法29条1項に反し違憲とならないか。

⑴ ア まず、上記自由は、国内所在資産の保有に関わることから財産権の一種であるところ、29条1項は「権」と規定している以上、私有財産制の他、個人の具体的な財産権をも保障したものであるから、上記自由は29条1項で保障される。

イ 次に、特定懸念人物にはA国民が含まれるところ、かかる特定懸念人物にも同項の保障が及ぶか。外国人の人権享有主体性が問題となる。
 この点につき、人権は前国家的性格を有し(11条、97条参照)、また、憲法は国際協調主義を採用している(前文3項、98条2項)。そこで、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、外国人に対しても保障が及ぶ。
 財産権は、選挙権などと異なり、外国人に認めても国民主権原理に反するといった弊害はなく、権利の性質上日本国民のみを対象としていると解されるものではないから、外国人にも同項の保障が及ぶ。 

ウ したがって、特定懸念人物の上記自由は同条により保障される。

⑵ 次に臨時特措法により、特定懸念人物の保有する国内所在資産は収用・換価されるので、上記自由は制約される。

⑶ もっとも、上記自由も絶対無制約ではなく、「公共の福祉」(12条後段、13条後段)による制約を受ける。そこで、上記制約は正当化されるか。
 まず、上記自由は、人間としての生活を営む上で必要な物的手段の享有にかかわる権利である。しかし、上記自由は、それ自体に内在する制約があるほか、立法府が社会全体の利益を図るために加える規制により制約を受けるものである。
 また、規制態様は、所有権の剥奪であり、強度な制約であるから、規制態様は強い。
 そして、規制目的が積極目的か消極目的かによって審査基準を分ける考え方も存在するものの、財産権は、種類、性質、制約目的等が多種多様であるから、目的で二分     するという方法は適していない     。本規制をみると、国外地域における民主政の早期回復を目的としており、諸外国との関係に関する政治的な判断を含むため、立法府に一定の裁量を認めるべきとも思える。もっとも、国外における民主政の回復の判断は、国内のものとは異なり、司法によっても十分に可能と考えられるから、裁量は広いとはいえない。
 そこで,①目的が重要で,②手段が目的と実質的な関連性を有する場合に限り,上記制約が正当化されると考える。

⑷ これを本問について検討する。

ア まず、立法目的は、A国における非民主的な軍事政権を弱体化させ、民主政の早期回復を図ることにあり、これは国際協調にも資するため、目的は重要である(①)。

イ 次に、手段について検討する。
 軍事政権の関係者は政府機構を私物化し、それによって得た資産を先進国へ移転させているため、かかる関係者である特定懸念人物の国内所有資産を収容することで、かかる資産の利用を防ぐという経済制裁につながるし、換価した金銭はA国における弾圧の被害者救済に用いられるため、上記目的は達成でき、本問手段は適合性があり効果的であるといえる。
 また、特定懸念人物は非民主的な軍事政権の関係者であり、交渉によりその資産を収容することは望めない。そして、反対派の大規模な弾圧が現に行われている中では、民主政の早期回復を図るために早急に抜本的な対策を講じる必要があるところ,強制的に取得するという方法は必要性がある。また、その対象範囲はA国民全員ではなく特定懸念人物に限られるため、過度でない。

ウ そのため,手段が目的と実質的な関連性を有する場合といえる(②)。 

2. よって、上記制約は正当化され、臨時特措法は、29 条 1 項に反しない。

設問2

1. Cは、29条3項に基づいて、D社の企業価値の毀損という損害に対する補償の請求をしているところ、かかる請求は認められるか。かかる請求が認められるためには、臨時特措法に基づく財産の収用が補償を要するものである必要がある。そこで、「正当な補償」の要否の判断基準が問題となる。

⑴ そもそも、同項の趣旨は、公共のための特定人の損失は全体において負担すべきという平等原則(14条1項)と財産権不可侵の原則にあるから、特別の犠牲がある場合に「補償」が必要と解する。
 具体的には、ⓐ侵害行為の対象が一般人か特定人か、侵害行為が財産権の本質的内容を侵す強度のものか,を基準に判断する。

⑵ 臨時特措法による財産の収用は,特定懸念人物という特定人を対象にしている。     そして、かかる収用により特定懸念人物が収用された財産を使用できず、取引等を行うことができなくなるところ、これによって、当然に対象となる人物が株主である会社や取引先の相手方といった特定のものに個別具体的な影響が及ぶ。したがって、上記の収用という侵害行為は、特定懸念人物を株主または取引先とする特定のものを対象とする。よって、特定懸念人物たる     F社を     大株主とし、また取引先でもあるD社も侵害行為の対象の特定人といえる (ⓐ)。また、D社はF社と取引ができなくなり、廃業にまで至っているのであるから、財産権の本質的内容を侵害するものであり(ⓑ),特別の犠牲といえる。

⑶ そのため,本件では補償が必要である。

2 . そして,臨時特措法は正当な補償を定めないが,同項は私有財産制を公共のために用いた場合の救済規定であるから,同項を直接の根拠として補償を請求できる。
 よって、Cの上記請求は認められる。

以上


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