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2024年 商法 東北大学法科大学院【ロー入試参考答案】
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2024年 商法 東北大学法科大学院【ロー入試参考答案】

6/30/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

東北大学法科大学院2024年 商法

第1問
 まず、会社法(以下法名省略)22条1項により、譲受会社が商号を続用した場合、譲受会社の債権者は、譲受会社に対して履行請求できる。
 次に、譲受会社が譲渡会社の債務をを引き受ける旨の広告をした時には、履行請求できる(23条1項)。
 また、譲渡会社が、譲受会社に承認されない債務の債権者を害することを知って事業譲渡がなされた場合には、譲受会社に承継した財産の額を限度に履行請求できる(23条の2第1項)。
 さらに、事業譲渡において、債務の履行を免れるといった不当な目的が認められ、譲渡会社が譲受会社を支配する関係が認められる場合、法人格否認の法理により、履行請求できる。

第2問
 この点について、取締役会の決議を欠く重要な業務執行は、取締役会の内部的意思決定と、代表者のなした意思表示に不一致があるから、心裡留保(民法93条1項)に類似する構造が認められる。
 そこで、同項但し書きを類推適用し、原則として有効であるが、相手方が取締役会の決議を欠くことについて知り、または知ることができた場合に限り、例外的に無効になると解する。

第3問
 まず、退任取締役は登記申請者でない以上、「登記した者」にあたらず、908条2項を直接適用することはできない。
 しかし、同項の趣旨は、虚偽の外観を作出した者に、かかる外観を信頼した第三者に対する責任を負わせることにある。そして、退任取締役は辞任手続を代表取締役に委ねざるを得ないことにかんがみ、退任取締役が、取締役の登記を残存させることにつき明示的に承認を与えていた等の特段の事情がある場合には、同条同項の類推適用によって善意の第三者に対して取締役でないことを対抗できず、429条1項の「役員等」として責任を負うことがある。

第4問
 この点について、分配可能額を超える剰余金の配当をした場合、金銭等の交付を受けた者及び当該行為に関する職務を行った業務執行者等は、会社に対して、連帯して、帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う(462条)。
 このとき、分配可能額を超えることにつき善意であった株主については、業務執行者等からの求償請求に応じる義務を負わないものとされる(463条1項)。

第5問
 株式譲渡において、株主名簿の書換は株主の会社に対する対抗要件であり(130条)、当事者間における株式譲渡は株主名簿の書換がなくとも有効である。
 そうだとすれば、会社に対しては株主名簿の書換がなく株式譲渡を対抗できないため、配当の請求をすることができないが、株式の譲渡人に対しては株主名簿の書換がなくとも株式譲渡を主張できるため、譲受人は譲渡人に対して、当該利益配当について不当利得返還請求(民法703条)をすることができる。

以上


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