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司法試験・予備試験 全年度分析【出題論点表付】
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司法試験・予備試験 全年度分析【出題論点表付】

11/25/2023

新司法試験は2006年に始まり2023年現在で18年分、また、予備試験は2011年に始まり、2023年現在で13年分(選択科目については2年分)の過去問の蓄積があります。

各科目の論文式試験の出題論点を並べてみると、一定の出題傾向が見えてきます。つまり、過去問を丹念に研究することで、次年度の論文式試験で出題されるであろう論点が、ある程度予測可能であるといえます。また、受験生は、正しい勉強の方向性を定め、緻密な学習の計画を立てた上で勉強に取り組むことができるようになります。さらには、問題を解く際に、「この問題と似た問題が20〇〇年あたりにも出ていたはずだから、確実に点数を取ろう」とか、あるいは「今まで出題されたことのない論点だから、現場思考で三段論法を意識しよう」とか、試験問題に冷静に対応できるようになります。

とはいえ、論点表をご自身で作成することは大変なことですから、私たちThe Law School Times が、ここに各科目の論文式試験の出題論点表と、出題傾向や対策をまとめました!受験生の皆様の助けになれば幸いです。


◇活用方法

基本的には、ご自身でお好きなように活用してくださればよいのですが、オススメの活用方法を紹介します。

❶出題論点表をざっと眺めてみてください。非常に端的に記載していますので、ざっくりした出題傾向がわかると思います。

❷特に繰り返し出題されている論点については、マーカーで色分けをしましょう。そうすれば、一目見るだけで出題傾向を掴めるようになります。

❸出題論点表の下に記載しているコメントは、補足のようなものですから、参考にしていただくだけで充分です。

❹本記事の論点表は、ご自身の勉強机に貼ったり、過去問集とセットで持ち歩いたりして、いつでも参照できるようにしておくことをおすすめします。ロースクールの授業や自習の際にも、本番の出題を意識して学習に取り組めるようになります。 


◇さっそく見てみよう

司法試験の受験科目と同様の順序で記載しています。

まず、科目別で出題論点を2006年から順に示し(2011年からは予備試験についても同様です)、次に、出題傾向と対策について端的にコメントします。

条文のみで記載しているものは、重要な条文であり、見ただけで論点が反射的に思い浮かぶようにしなければならないものです。なお、出題論点表の条文は、例えば、309条2項5号を「309Ⅱ⑤」のように簡略化して記載しています。


◇憲法

 

傾向と対策

● 傾向

◯  司法試験

・近年、出題形式が度々変更されているため注意が必要です。もっとも、三者間型の出題が多い傾向にあります。

・答案上に判例名や学説を記載することを求められています

・出題分野としては、表現の自由、営業の自由の出題が多いです。

・適用違憲よりも法令違憲を問われることのほうが多いです。

・統治分野が正面から問われたことはありません。

◯  予備試験

・出題分野は、人権各論から統治分野まで多岐にわたっています

・マイナーな人権を問われることがあります。

● 対策

・時間内で①原告・②被告・③私見の三者の立場を書き切れるように準備しましょう。

・少なくとも百選掲載判例については、事案や学者の論評についてもよく読み込んで、複数の立場で論述できるようにしましょう。

過去問が良問であるため、できれば全年度について起案をし、できるだけたくさんの再現答案を読み、当てはめ方法などを吸収しましょう。

・現場思考に対応するため、統治分野も含めてまんべんなく学習しておきましょう。


◇行政法

傾向と対策

● 傾向

◯  司法試験

・問題文に加えて会話文があり、答案を書く上での誘導になっていることがほとんどです。

・非常に緻密に作問されており、問題文・会話文・参照条文は無駄な記載がほぼありません。

・取消訴訟の出題が非常に多いです。

・処分性、原告適格、裁量権の逸脱濫用が頻出です。

・訴訟選択や仮の救済についても多年度で出題があります。

・判例をベースとし、判例との違いを論じさせる出題が多いです。

・2014年以降、裁量基準の処理ないしそれに準じた処理を論じさせる問題が頻出です。

◯  予備試験

・問題文は短く、会話文などの誘導もありません。

・処分性、原告適格が頻出です。

・司法試験に比べて、やや細かめな知識を問われることがあります。

● 対策

過去問(2010年司法試験は例外)が非常に良質であり、過去問学習を中心に据えることが有益です。多くの再現答案を読み、あてはめの仕方などを吸収しましょう。

・司法試験の場合、2時間という試験時間に対して問題文の文量や答案作成に必要な記述量が膨大であり、時間配分がシビアであるため、時間を意識した適切な処理ができるように訓練することが必要です。

判例ベースで学習する必要があります。判例の処理方法を正確に理解し、重要判例については判例の文言を正確に再現できるようにしましょう。


◇民法

 傾向と対策

● 傾向

◯  司法試験

・一定の出題傾向というものがあまりない科目です。

・民法総則から家族法まで、まんべんなく出題されます。

・家族法は、2年に1度のペースで何らかの形で出題される傾向にあります。

・重要論点が問われる事が多いですが、現場思考をからめた妥当な結論を導くことが求められます

重要改正部分が問われることも多いです。

◯  予備試験

・一定の出題傾向というものがあまりない科目です。

・民法総則から家族法まで、まんべんなく出題されます。

・司法試験に比べて、細かな論点が出題されることもあります。

● 対策

過去問が良質であり、学習の素材としては非常に良いです。もっとも、再度出題可能性が低いため、各自が使用している問題演習教材や法科大学院での授業教材にも取り組みましょう

・特に家族法については、条数を答案上に正確かつ詳細に記載できるように訓練しておきましょう。

・問題文を丹念に読み込み、現場思考にも対応し、妥当な結論を答案上に示せるように、たくさん起案や答案構成をしましょう。


◇商法

傾向と対策

● 傾向

◯  司法試験

・設立、総会決議取消訴訟、取締役会決議関連、役員の責任、利益相反、組織再編など、出題範囲は多岐にわたります

・商法総則・商行為、手形小切手法は出題されたことがありません。会社法の学習を中心に行うべきでしょう。

・取消事由や新株発行無効事由などは、過去問の焼き直しの出題も多いです。

予備試験で問われた点が、数年後の司法試験で問われる傾向にあります。

◯  予備試験

・出題範囲は、およそ司法試験と同様です。

・商法総則・商行為、手形小切手法は2012年以後出題がありません。

● 対策

過去問が非常に良質であり、かつ再度出題可能性も多分にあるため、全年度について繰り返し取り組みましょう。

・百選掲載判例については、判例の文言を意識しつつ判例の処理方法についても正確に理解しましょう。

・特に組織再編については、条文が多く複雑であるため、難なく読みこなせるように六法に慣れ親しんでおきましょう

・試験用法文にはレファ―がないため、会社法施行規則や計算規則についても、試験でよく使う条文については即座に引けるようにしましょう。 


◇民事訴訟法

傾向と対策

● 傾向

◯  司法試験

会話文形式になっており、「課題」に答えるという形式になっています。

・既判力、自白、確認の利益、固有必要的共同訴訟、補助参加、主張原則などが頻出です。

過去問と類似の出題がされることが多々あります。

・近年(特に2019年以降)は、細かい論点や論文での重要度が高くないとされる論点の出題がされることがあります。

・どの年度も法的思考力が問われる出題であり、難易度は高めです。

◯  予備試験

・司法試験のような誘導はありません

・出題範囲としては、司法試験とさほど変わりはありません。

● 対策

過去問が非常に良質であり、かつ再度出題可能性も多分にあるため、全年度について繰り返し取り組みましょう。

・判例や学説の知識を前提とした高度な法的思考力が必要となるため、自習だけではなく、友人とのゼミで討論することが有益です。

・民法と同様に、妥当な結論を図れるように訓練しましょう。


◇刑法

傾向と対策

● 傾向

◯  司法試験

・近年は、単に罪責を問うのではなく、小問形式学説知識も問われる傾向にあります。

比較的近時の重要判例をベースとした事例が出題されることが多いです。

・共犯は、ほぼ毎年出題されます。

・正当防衛、身分犯、錯誤、強盗、詐欺、窃盗、不作為の殺人、横領は頻出です。

 予備試験

・罪責を問われることがほとんどであり、司法試験のように学説を問われることはほぼありません。

・出題範囲の傾向としては、司法試験とほぼ変わりありません。

● 対策

過去問が非常に良問であり、再度出題可能性も多分にあることから、全年度について必ず取り組みましょう。

・学説の対立がある部分については、自説だけでなく他説でも論述できるように、知識を蓄えておきましょう。

・問題文の事情を適切に抽出して、各事実について丁寧に評価することを心がけましょう。

・問題となる論点や罪責を落としてしまうと、大きく減点される科目です。問題文を読み解き、答案上に漏れ無く記載できるようにしましょう。


◇刑事訴訟法

傾向と対策

● 傾向

◯  司法試験

・近年は、小問形式学説知識も問われる傾向にあります。

出題範囲は多岐にわたり、まんべんなく出題されます。

・最後の設問では、少々現場思考的な出題がされることがあります。

◯  予備試験

捜査法と証拠法のいずれかが出題されます。

・捜査法の方が出題回数は多い傾向にあります。

・出題範囲としては、司法試験とさほど変わりありません。

● 対策

過去問が非常に良問であり、再度出題可能性が他の科目よりも非常に高いことから、全年度について必ず取り組みましょう

・学説の対立がある部分については、自説だけでなく他説でも論述できるように、知識を蓄えておきましょう。

・百選掲載判例でなくても、近年の重要判例についてはこまめにチェックしておくことが有益です。

・問題文の事情を適切に抽出して、各事実について丁寧に評価することを心がけましょう。

・問題となる論点を落としてしまうと、大きく減点される科目です。問題文を読み解き、答案上に漏れ無く記載できるようにしましょう。

・高得点を獲得するためには、それなりの文量を書くことが求められる科目です。答案を書くスピードの訓練が特に必要です。


◇おわりに

 実際に司法試験・予備試験に出題された論点、各科目の傾向と対策を紹介しました!

 実際に試験に出題されている論点を把握し、普段からそれを意識して勉強することで、目標を的確に見据えた学習を行う一助となれば幸いです!

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