広告画像
2022年 憲法 日本大学法科大学院【ロー入試参考答案】
後で読むアイコンブックマーク

2022年 憲法 日本大学法科大学院【ロー入試参考答案】

4/20/2025

The Law School Times【ロー入試参考答案】

日本大学法科大学院2022年 憲法

問1

1. 明確性の法理とは、表現の自由を中心として、国民の一定の自由を規制する立法はその要件が明確でなければならないとする理論である。かかる議論は、形式的正当化に当たる部分であり、法令の合憲性を判断する基準(文面審査)の一つである。

2. 明確性の法理が求められる主たる根拠は、刑罰法規が表現の自由の制約を目的とする性質のものである場合、かかる刑罰法規の明確性が欠けていることによって、表現主体に対して萎縮効果を生じうるためである。
 このような萎縮効果が生じないためには、刑罰法規をあらかじめ明確に定めることにより、違法行為を処罰する一定の条件を国民に対し公示し、処罰に関し公正な告知を担保しておく必要がある。
 また、そのように刑罰法規の明確性を厳格に要求することにより、行政が恣意的に裁量権を濫用し国民の自由を不当に制限することを防ぐことができる。その意味において、明確性の法理は行政権の裁量統制を行う価値をも有しており、上述の意義をも考慮すれば、この法理に反する法令は違憲となると考えられている。
 しかし、一般に法規は、規定の文言の表現力に限界があるばかりでなく、その性質上多かれ少なかれ抽象性を有し、刑罰法規もその例外をなすものではないから、禁止される行為とそうでない行為との識別を可能ならしめる基準といっても、必ずしも常に絶対的なそれを要求することはできないため、立法府に不可能を強いることにならない程度の基準を探求しなければならない。

3. そして、明確性の法理について判示した最高裁判決である徳島市公安条例事件では、ある刑罰法規があいまい不明確ゆえに憲法31条に違反するものと認めるべきかどうかは、通常の判断能力を有する一人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによってこれを決定すべきであるとした。

 問2

1. 設問の見解は、条例3条3号の「交通秩序を維持すること」とは、「道路における集団行進等が一般的に秩序正しく平穏に行われる場合にこれに随伴する交通秩序阻害の程度を超えた,殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為を避止すべきこと」と解するものである。

2. しかし、条例の文言からは、交通秩序維持について「殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為を避止すべきこと」を命じているとの     限定解釈を可能にするだけの手がかりはなく、同じような文言を利用している部分もない。そのため、一般人をしてこのような限定解釈ができるとはいえず、具体的行為がこれに当たるか否かを判断しうる基準が読み取れるとはいえないから、明確性を欠くと考えられる。
 仮に、条例3条3号が、「殊更な交通秩序の阻害をもたらす行為を避止すべきこと」を命じているという解釈をとりうる場合には、だ行進、うずまき行進、すわり込み、フランスデモのような具体的行為が、上記の解釈にあてはまる行為にあたるか否かを一般人が判断することは可能といえ、明確性を欠くとはいえない。               

以上

おすすめ記事

ページタイトル
ロースクール

慶應ロー入試模試昨年度版題販売のお知らせ

ページタイトル
ロースクール

【最新版】ロースクール入試ハンドブック公開!全34校の説明会/出願/試験日程・入試科目・過去問リンクが一冊に!【2026年度入学者向け】

#ロースクール
ページタイトル
司法試験・予備試験

【予備試験受験生向け】予備試験対策座談会 開催のお知らせ

#予備試験