5/15/2025
The Law School Times【ロー入試参考答案】
岡山大学法科大学院2024年 民法
問題1 問1
1. まず、Bは本件の契約が契約不適合であるとして、契約不適合責任(民法(以下法名省略)562条1項)に基づき、代金減額請求(563条2項1号)をすることが考えられる。
⑴本件では、甲の売買に際して、Bは華道展に向けて適切な花器を探していることをAに対して説明した上で、もし甲が花器に適するならば300万円で購入したいと伝えており、甲が花器に適しているか否かは、売買の目的となっていた。
そして、甲の底には微細な穴が複数あいており、数日にわたって水を入れたままとなる華道展での使用には適さないものであったため、甲には「品質」に不適合があったといえる。
⑵次に、契約不適合責任で代金の減額を請求するには原則として、追完の催告をする必要がある(同条1項)。
しかし、本件では、甲は底に微細な穴があいており、その微細な穴を修復することはできないし、甲からの水漏れを防ぐことはできない。
そうだとすれば、本件では、「履行の追完が不可能」(同条2項1号)といえ、同条1項の追完の催告をすることなく、減額請求できる。
⑶したがって、Bはかかる方法によって代金の減額を請求することができる。
2. 次に、Bは本件の契約が契約不適合であるとして、履行不能に基づく損害賠償(564条、415条1項)を請求し、かかる損害賠償請求権と代金支払請求権を相殺(505条)するとの主張をすることが考えられる。
⑴前述のように本件売買契約においては契約不適合が認められ、「債務の履行が不能」(415条1項本文)であるといえる。
⑵また、Aは甲に微細な穴が空いていることについて何らの確認もしていなかったのであり、「責めに帰することができない事由」(415条1項ただし書)は認められない。
⑶また、本件の損害賠償請求請求権と代金支払請求権は同種の債権であり、債務の性質上許されるものである(505条1項)。
⑷したがって、Bはかかる方法によっても、代金の減額を請求することができる。
問題1 問2
1. 約定担保物権
⑴例 抵当権
⑵当事者間が契約を交わすことで発生する担保権。
2. 法定担保物権
⑴例 先取特権
⑵当事者間で契約などの設定行為がなくても、一定の条件が揃うと法律の規定によって当然に発生する担保物権。
以上